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はむはむはむ

「おじいちゃん、分かる?」

「ああ、動物園で元気の無くなった小さい動物達に食べさせたものを作って持ってきますよ。」

“やったあ!”

 そうして数時間後です。

『ふんふん、何だろう?、ふんふん、何か美味しそうな匂いがするぞ。』

 子兎は、目を開けてみました。

『あれ、またカゴの中に居るのかな。これまでのことは夢だったのかな。本当に美味そうな匂いだな。』

「おじいちゃん、おじいちゃん、鼻をふんふん動かしてるよ。」

「ほうら、言った通りだろう、これを前にするとどんな奴でも食い意地が張ってくるんじゃよ。そら、食え、元気になるぞ、そら、そら。」

 本当に不思議です。どんなにぐったりとしていても、食べたくなる気持ちが沸いて来たのです。

# はむはむ、はむ 

『んー、う、美味い!こんなに美味しいの生まれて初めて食べたよ。』

「おじいちゃん、おじいちゃん、物凄く食べだしたよ。」

# はむはむはむ はむはむはむは・・・

「おお、相当腹減ってたようだな、これだけ勢いよく食うようなら大丈夫じゃろう。」

「本当ですね、全くそんな素振りが無かったんで、もう駄目だと思ってました。此処に連れてきた調査員が大変喜ぶと思います、後でお礼に伺わせますので。」

 その傍らでは、夢中で食べている子兎の様子を女の子はかじりつくようにじっと見守っています。

「そんな礼には及びませんよ。それより、どうも愛美ちゃんは、コイツの事が心配なようで、昨日帰ってから、ずっと話してるんですよ。邪魔にならないようにさせますから、来所した時は、自由に見ても良いですかね?」

「ええ、もちろん構いませんよ、むしろこの子の様子を時々診ていただけることになるので助かります。愛美ちゃん、これからも会いに来てあげてね。」

「本当に?、嬉しい、いつかパパ、ママにも見せてあげられるよね、おじいちゃん。」

「ああそうだね、連絡が来たら此処に来るように言うから大丈夫だよ。」

「やったあ、早く来ないかな。」

 そしてまた女の子は、夢中になって食い漁っている子兎に目を戻します。その様子を見ながら、救護職員はおじいさんにさり気なく尋ねました。

「愛美ちゃんのご両親は、別の何処かにいらしゃるんですか?」

「ええ、共働きなんですが、勤め先から未だ連絡が来てないんですよ。毎日のように掲示板を見に来ているんだけど、最寄りの避難所に居るというのが載ってないんですよ。」

「そうですか、ご心配でしょうね、携帯電話は、未だ電話会社からの復旧のニュースが出ていないですし、結局今は、この安否確認の掲示板が頼りなんですよね。」


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