どうしたら
翌日、朝を迎えました。
“お姉ちゃん、お姉ちゃん、この可愛いいのは、な~に。何処で見つけたの?”
そこはT地区緊急避難所の仮設救護棟の一角です。
「動いてる?、この子は病気なの?」
「そうねえ、どうかしらねえ、でも死んじゃいないのよ。昨日見付けられたんだけど元気が無くなっていてね。お水を飲んだり、ご飯が食べられれば良くなるんだけどね。」
「そうかぁ、どうしたらご飯が食べれるようになるのかなあ?」
沢山の人達が詰め掛けています。此処では怪我人や具合が悪くなった人を病院に連絡、搬送の手配をしています。また、行方の分からない家族や知人への消息確認の届けを受付、他の避難所との取り次ぎをしているのです。受付コーナーの側には安否確認の連絡掲示板が大きく張り出されています。
“愛美ちゃん、愛美ちゃん、此処に居たのかい。何処に行っちゃったのか捜したよ。”
「あ、おじいちゃん、ほら、このカゴにネズミさんが居るんだよ。」
「ほう、どんなネズミだい?ハムスターとか、モルモットかな?」
おじいさんは、女の子の頭の横から覗き込みます。
「ネズミ?ん、これはネズミじゃないな。」
「ネズミさんじゃないの?」
すると、受付の救護職員もおじいさんに尋ねます。
「そうなんですか、てっきりネズミかと思っていましたよ。」
「いや、若い頃、動物園に勤めてた時がありましてな、こいつの丸い体つき、足の形や短い尻尾がネズミの類いとは違うんですよ。それにしてもこりゃあ相当弱っているな。ちょっと手にとって様子を診ても良いですかな。」
「ええどうぞ、見識のある方にこの子の状態を診てもらわないとと考えてたんで好都合です。飼育ゲージを開けて下さい。」
「おじいちゃん知ってるんだ、凄いね。この子は元気になりそう?」
おじいさんは、ゲージの上蓋を取ると壁に立てかけ、そおっと両手で子兎をすくい上げました。
「ねえねえ、どう?、大丈夫そう?」
女の子は、とてもとても心配です。おじいさんは、しげしげと子兎の身体を見つめています。
「未だ、十分温かいな。何処にも傷らしきものも見えないし、こりゃあ腹が空き過ぎているだけじゃろう。食べさせることが出来れば、元気になるようだな。」
「本当に?、良かった。どんなご飯を食べさせれば良いの?」
「多分、ネズミの食べ物でも大丈夫じゃろうが、ここに置いてある普通の物じゃ食欲が起きんじゃろう。」
2人の会話に救護職員も加わります。
「そうなんです。何を食べてくれるのか見当がつかないんですよ。」




