調査隊
それから、幾日かが経ち。
# ドカンドカン、ガガガガ
“お~い、誰かいますか、誰かいたら返事をして下さい、誰かいますか? ”
# ・・・・・
「隊長、人は居ないようですね。」
「ああ、此処はペットショップだから、未だ生きてる動物が居るかも知れないな。爬虫類あたりは、飼育カゴから逃げ出しているかも知れないぞ。」
「お、脅かすのは止めてくださいよ。私、そのての生き物は、平気とは言えないんですけど。」
「あっ、居たよ。」
“きゃ!”
「アハハハ、冗談冗談、清掃用のゴムホースだよ。」
「職務中に、何ふざけてるんですか!」
「ごめんごめん、しかし何だな、ほら、あそこを見ろよ。」
調査隊長は、1つのひっくり返った飼育カゴを指差します。
「イタチの類い?でしょうね。」
「致命的な怪我も見当たらないな。食べ物を与えなかったんで、死んでしまったんだろうな。カゴの中だから逃げるにも逃げられない。人間とは身勝手なものだ、金儲けになる動物を売り買いし、商品価値が失くなれば置き去りにする。此処の動物達もしかりだ。この惨状を見ていると、生きている物を飼う、扱うことへの責任ってものが欠けているんじゃないかと思うよな。」
「隊長、オヤジのボヤキはともかくとして、取り合えず此処には、人どころか生き物も居ないようですね。」
いまさら言うようですが、この人間達は、被害状況を確認し、災害対策本部に連絡する調査隊です。執務内容は、生存者の確認、構築物の損壊程度を判別、危険性を伴う異常の発見等を行っています。
「此処もほぼ全壊ですね。本当に酷い有様です。非難された方々の生活の手当てをしながら、これから少しずつ撤去作業にかかり、現状復帰するまでどれくらい掛かるのか見当も付きませんね。」
「そうだな、過去の経験を踏まえて防災に取り組むと言っても、人間の意識なんか直ぐ風化しちまうからな。結局、起こってからの復興の話になる。まあ、しのごの言っても始まらない、今日を精一杯やるだけだ。おい、記録簿の記入は終わったか、次に行くぞ。」
「あっ、ちょ、ちょっと待ってください。」
「何か異常を見つけたか?」
「生きてますよ、未だ、動いてる。」
「何だ!、何が動いてるんだ!緊急報告することか?」
調査員はその場にしゃがみ込んで、じっと状態を観察している様です。そうして、隊長もその右の肩越しから覗き込みました。




