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愛情が無けりゃ

『ふーん、これが愛想を振りまくってことなのか。』

 女の子は、まんまとハムスターの策略にはまっているようです。

「ママ、ママ、このネズミさん凄く可愛いよ、これが欲しいな。」

「ホントね、店員さん、これはお幾らなの?」

「1800円ですよ。餌やりはペレットという専用のものがあって簡単ですし、決められたトイレで用をすませるし、掃除も月に一度、床のチップを替えるだけで大丈夫。」

「へえ、簡単でお手頃なのね、子供には丁度良いかも、やっちゃん、これにしようか。」

「本当?、でもちょっと気になることがあるの。」

「ハイハイ、何でしょうか。」

「友達のめいちゃんが飼ってたペットが、死んじゃったのね。もう、おじいちゃんだったらしいんだ。ちっちゃい時に買って貰ったんだって。このネズミは、どの位生きているの?」

「そうですね、ハムスターだとだいたい2、3年位ですね。」

「ええっ、そんなに早いんだ。」

「もう少し長い寿命のもいますけどね。まあ、ペットはいつかは亡くなる時が来ます、その時はまた飼っていただければ大丈夫ですよ。すぐに新しい方に情が行きますから。」

 すると、女の子は考えているようです。

“どうしよう、めいちゃんは、死んじゃったペットのことが忘れられなくて暫く飼わないって言ってたの。2年位で悲しみが来ちゃうんだ。”

 身体をフリフリ動かすハムスターを見つめながら、不安になる呟きが聞こえてきます。

「もう少し長生きするものはいないのかしら。ワンちゃんとかネコちゃんだったら十年近く生きてるのよね。」

 心配している娘を気遣かって、母親が店員に尋ねたのです。

「それじゃあもう少し長い兎とかフィレットはどうでしょうか?、裏手の陳列棚になります。お嬢ちゃん、ウサギさんとかはどう?、学校とかで飼ってるのとは違って小さいのや変わった色のがいるよ。それにネズミさんよりずっと長生きするよ。」

「ママ、行っても良い?」

「ええ、見てみましょうね。」

 店員と親子は、奥の棚の脇にある桃色の絵表示から右に折れると、姿が見えなくなったのです。

「人間達、行っちゃたね。」

「全く、あいつ等はアタイのこの愛くるしい魅力を分かっていないわね。まあ、気に入ってもらわなければ、大切に世話もしてくれないから良いけどね。」

「ふーん、世話をしてくれるって、気に入ってもらってるからか。」

「何、当たり前の事言ってるの。愛情が無けりゃ、ちゃんと世話をしてくれるわけないわよ。短かったけど、以前アタイを飼ってくれてたご主人様は、そりゃもう溺愛してくれたのよ。」

「どうして君を手放しちゃったの?」


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