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いぶり出す

 夕暮れ時の山麓は、その峰峰みねみねがオレンジ色に照らされ、なにか物悲しい情緒ある雰囲気を醸し出していました。秋来ればさびしかりけりとは、このことでしょうね。そして暫く2人は、丁寧に岩と岩の狭間や盛り土の穴を確かめていきます。

「良男、良男、ちょっと来てくれ、此処だけ妙に丸い穴に草が張り付いているぞ。」

 それは直径5センチ程で、自然に造られた穴ではありません。

「うん、これだな、それじゃあ早速仕事に取り掛かるか、英治、例の物出しな。」

 言われた男は、持っていた作業袋に右手を突っ込むと網を取り出しました。丸い針金で通した枠が付いています。そして、その枠を穴の上に被せます。

「英治、隙間から逃げられないよう気をつけろよ。」

 すると命令している男は、何やら筒のような物を取り出しました。それから2人は顔にマスクを着けます。

「よし、奴が出て来るまで我慢しろよ。」

 男は、その筒のような物に付いている取っ手を手前に引き、反対側の先を穴に向けます。そして今度は押し出すように取っ手を筒に納めると穴に向けた先から勢いよく煙が噴き出しました。

# ゲホゲホゲホ・・・

 煙の厳しさに、泪を流しながらむせ返ります。そしてまた、取っ手を引くとまた押し出します。当然煙は、穴の奥へと入り込んで行くのです。

# ゲホゲホゲホ・・・

 外は煙だらけで、穴の位置も分からない程です。

「おい、出て来たか。」

「いや、未だだな、居ないんじゃないか?」

# ゲホゲホゲホ・・・

“あっ、何か見えるような気がする。出て来た、出て来たぞ。”

“よっしゃ、もう一発奮発するか。”

 再び筒から勢いよく、煙が穴に向かって噴き出しました。

# キキ!、キュウ、ピキ!

“よし、網に入ったぞ、口を閉めろ!”

網を押さえていた男は、素早く穴にあてがっている丸い枠を閉じます。

# キュウ、キュウ

“ゲホゲホ、アハハ、こんなネズミの様な奴が高値で取引されているとはな。世の中物好きな者が居るもんだ。まあ、そのお陰で俺達は食っていけるんだがな。”

# キュウ、キュウ

「良男、結構苦しんでいるぞ。早く眠らせなよ。」

「おう、そうだった。」

 男は、ポケットから小さなスプレー缶を取り出しました。そして、捕らえた小動物に向かって、中の液体を吹き付けました。


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