リス?、それともネズミ?
更に大きくなっていく地球、カミーユは興味深くじっと眺めています。
「どうじゃ、自分の星の姿は、面白いかの?、なんだったら触っても良いんじゃよ。」
「ええっ、本当に?、大丈夫?。」
「その為にここに現れたんじゃからな。触れば、お前のアレスは、然るべき身体に宿ることになるんじゃよ。」
「地球の何かの生物になるのか・・・本当に虫とか魚とかだったらどうなるのかな。」
「蝉かもしれんな。」
「いやだあ、ずっと土にいて、やっと地上に出られたら1週間で死んじゃうんだよ。」
「それはそれで生きていく幸せがあるのじゃよ。心配したところで、宿った時には今までの記憶は無くなっとる、安心して行ってくるがよい。」
そのフクロウのようなものの勧めに従って、恐る恐る右手を伸ばしていきます。指先が震え、血が通わなくなったように感覚が無くなっている気がします。まあ、元々肉体がないのですがね。そしてついに、中指の先端が南極大陸の一部に届いた時でした。すると、カミーユは、スポイトが液体を吸い込むように地球の中に入り込んでしまったのです。
# ヒュルヒュル・・・
“行ったようじゃな。”
そうして、再び闇が煙に覆われていきます。フクロウの様な怪しいものは、そのギョロリとした目を2,3度瞬きをすると、首をクルクルっと回しました。
“さて、案内も一苦労じゃな。小僧がどう過ごしていくか見ものじゃ。幸せは、そうは簡単には見つからんだろう。また、思わんところにあるだろう。案外近くにあったりするぞ・・・おっ、次のお達しがもう来たようじゃ。我が主も、わし等をようこき使うものじゃ。それでは参るかな、小僧がんばれよ。”
# バサバサバサバサ、ホーホー・・・
大きく翼を広げながら、煙の中に埋もれていくように消えていきました。
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そこは、遥か遠くの地平線までも望み、特有の季節風の吹きつける岩場の多い大地が広がっていました。標高が高いので、冬になると日中でも気温が低く、人が暮らしていくには厳しい環境です。其処には人がめったに足を踏み入れることがないので、本来の自然そのままなのです。なので、総てが透き通って見えるほど純粋な空気と水に育まれています。大昔から高山植物と小さな生き物達の楽園。ほら、良く見ると、岩場の窪みに何か動いているようです。
# ピキ、ピッ、ピッ
小まめに忙しく、岩場の周りを右往左往している小動物です。あれ、何か木葉をくわえているようですよ。10センチ位の丸い体つき、くりっとした小豆のような目、焦げ茶色の固めの毛並み、ほっぺを膨らましてモグモグ食べる様は愛嬌いっぱいです。リス?、それともネズミ?、いえいえ、それはナキウサギなんです。




