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主よ、次なる宿りの世界を

「どうじゃ、驚くのも無理はなかろう。」

 宇宙。

 左右、上どころか下も、ありとあらゆる形と色と輝きの星々、星雲、銀河の真っ只中なのです。

「凄い、3D?、バーチャルなプラネタリウムだね。」

「なに馬鹿なことを言うとるんじゃ。本物じゃぞ、本物!、じゃが、我が主にとっては玩具らしい。」

「そのアルジさんって、どんな人なの。世界征服してる人?、アレキサンダー大王?」

「なに無礼なこと言っとるんじゃ、そんな隷属なものに例えるとは、身の程を知らんことじゃな。まあ良い、主は寛大じゃ、まだまだ宇宙が未熟なことは分っておられる、許していただけるじゃろう。」

そんな言葉もよそに、カミーユは口を開けたまま、宇宙のこの上ない美しい様子に心を奪われています。

「小僧、どうじゃ、お前が存在する処は絶景じゃろう。」

「うん、最新の3Dグラフィックゲーム、メシアンもこれには敵わないよ。」

「また、それか。とにかくお遊びはここまでじゃ、さっそくお前の次の住処を決めるとするかの。」

「こんな沢山の中から決めるの?、凄く時間がかかっちゃうんじゃないの?、僕どうやって選べば良いの?」

「そんなに心配せんでもよいんじゃ。アレスの力を信じていれば良い。選ぶのではない、感じるのじゃ。そうすれば、自ずと星を引き寄せるはずじゃ。」

「なんかそれ、父さんが子供の頃に観た、SF映画のキャラクターの台詞に似てるね。」

「私は、そんな醜いジジイじゃない。」

「なんだ、知ってるんだ。」

「とにかくお前さんは、星が引き寄せられるところを待っておれば良いんじゃ。さあ、両手を開いて前に差し出すのじゃ。そして、心の中で創造主にこう唱えるのじゃ、‘主よ、次なる宿りの世界を選びまする’、とな。」

「それだけで、良いの?、今言った呪文の方がカッコイイのに。」

「私等の創造主への崇敬すうけいをなんじゃと思うとる、何か不服でもあるのか。」

「普通こういう時って、召喚のアイテムとか、ポーズとかがあるんじゃないの。」

「そんなものは無い、手を差し出して、そう唱えるんじゃ!」

「は~い。」

「全く緊張感の無い奴じゃの。テストばっかりする世界でも引き寄せないもんかの。」

「そんなのやだぁ。」

 そんな気のない返事をしながらも、カミーユは両手を前に突き出して、物を受け止める様に手の平を広げます。そして目をつぶり、心の中で教えられた言葉を唱えます。

“しゅ、よ、つ、ぎ、な・・・・”

 この世界とは一体何なのでしょうか。そして、そこに私達が偶然存在しているのです。別に哲学的な物事を問うている訳ではありません。貴方は何ですか?、と聞かれたらどう答えますか。存在していることが、実感できますか?、自分はつまらないと思っていませんか?、逆に、自分ほど優れている者はいないと思っていませんか?、そんなことはこの世界にとっては、どうでもよいことなのです。


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