No14 トレハン
「おはようございます。」
朝イチで起きた俺は旅の準備を整えて1階に降りてご主人と女将さんに挨拶した。
「おはよう、昨日は良く眠れたかい?
もう出発するんだね、駅馬車は西門の横だからすぐにわかると思うよ」
女将さんはやさしく挨拶してくれた。
「いえ、今日ももう一泊したいのですがよろしいですか?」
身分を調べる魔法の道具がある中であまり素性も聞かず
きれいな部屋で一泊させてくれる。
宿が他にあるかわからないので、とりあえずこの宿をキープしておくことにした。
「あらま、そうなのかい?
どうせ、いつも空き室だからこちらとしては大歓迎だよ
なら、朝食は食べてくかい?」
「いえ、何か軽いのがあればこれで下さい」
俺は首を振って銅貨3枚を出した。これならパンくらいなら買えるだろう
「あはは、そんなにいらないよ、銅貨1枚でスグに食べるの用意させるよ」
「あんた、急いでるみたいだから何か食べるのちょっと作ってあげて」
「あいよ」
スグに丸パンのサンドイッチとワインが出てきた
サンドイッチはちょっと甘酸っぱいソースにつけた感じのお肉に野菜が挟まれていた。
「これ、おいしいですね」
というと厨房の奥から顔を出してご主人が親指をたててにやけた。
ワインを最後まで飲み干すと宿から出発することにした。
今日のプランは実は午前中にホルロンまで向かうことであった。
昨日の夜、1人になってから地図でルートを考えていたら直線距離でいうと
漁村からホルオンプラスαの距離なので
前よりも速度を上げていけば昼過ぎには着く予定である。
森には魔物や獣が多いといっていたのでので
地図で見ると馬車は森迂回するルートを取っていると考えられる。
西門まで行き警備の衛兵に商人ギルドの証を渡し外に出してもらおうとしたのだが
水晶でチェックされると期限切れで商人ギルドで更新しなおして、
また来いと言われてしまう。
白骨化するまで大事に保管していてくれたんだから仕方ない。
本人じゃないし、更新してもらえないので塀を乗り越えていく
街をでてからは森に入って木の上ギリギリで空中浮遊し飛んでいく。
1.2時間飛んだあたりでガッチリと鎧を着込んだ集団を発見する。
巻き添え食らうのは今は面倒だが、妙に気になったので少し距離を置いて観察してみる。
1人の男が指示をしながら裸同然の男達に穴を掘らせていた。
たぶん奴隷だろう
大部分の人たちはキャンプをして食事を取っている。
しばらくすると穴を掘らせている男が何かを発見したんだろうか。
キャンプが慌しくなる。穴の様子はここからでは判断できない
しばらくすると掘った穴の中から1人少ない人数で上がってくる。
そして、数人の屈強そうな鎧を着けた戦士が巨大な盾を構えて
他の人たちはその後ろで構える。
「開けろー!!」と怒号と共に後ろに控えていた人たちから
盾戦士の頭上を越えて炎の弾を打ち込まれる。
穴の中から這い出た魔物達はさらに構えていた男達に斬られていく
この世界のトレハンはこういう形なんだろう、実に残酷に行われている。
たぶん、穴に残った奴隷は焼け墨になっているだろ・・・
団体に気が付かれないようにさらに距離をとってから空中浮遊を再開してホルロンを目指すことにした。




