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合同テニス部の距離は近くなりすぎた  作者: 綿ダッコ
第4章〜引き換えるもの〜

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第51話 想いを背負う

 「(珀多くん…………ちょっと来てほしい)」


 学校中からの囲み取材を耐えた央崎は、放課後になり帰ろうとしていた。

 そして、声をかけられた央崎は季楽坂と空き教室に入った。


「どうしたん?」


「あのね、その…………私、珀多くんのことが…………好きだったの!!」


 央崎は、大きく目を見開いた。


「昔から、私に優しくしてくれて…………ずっと、好きだったの。地区大会の時に再会してから、スキンシップを取ってたとき、ずっとドキドキしてた。それで、私のことも気遣ってくれて…………そんな、優しい珀多くんのことが好き!!…………ずっと、側に居て、ほしい」


 央崎は目を見開いたまま、十数秒間無言のままだった。


「…………大事なことやから、返事は待って欲しい」


「…………いつでも、返事待ってる」


 季楽坂は空き教室を出た。


 …………佳苗、俺のこと好きだったのか。

守ってやりたい。俺も側に居てほしい。けど…………何かが違う。


 央崎は、スマホの写真フォルダーに目を移した。


「…………っ、」


 央崎は、思わず胸を手で抑えた。


 この胸のドキドキは…………蓮香に向けたもの…………。


――全国大会の2日前に感じた、あの気持ち


 …………佳苗には向けてない。でも、佳苗と距離ができるのはイヤや。

じゃあ、俺は佳苗に、蓮香に


――どう接して欲しいんだ


 佳苗が勇気を持って告白してくれた今、2人への気持ちが曖昧な状態で返事をするのは、佳苗を突き放すのと同然や。せめて、蓮香に対するこの気持ちの正体を知りたい…………


 央崎はもう一度、全国大会の時の写真を見た。


 恋…………なの、か?

良きライバルに対する気持ちじゃない。

しかも、昔との関係性も違う。隣に立ちたい…………けど、ライバルとしてじゃない。

もし、恋だとしたら…………、

佳苗の気持ちを踏みにじることになるのか?


 央崎は、さっきまで季楽坂の立っていたところに目が移った。


 …………いや、違う。地区大会の後も、ゲリラ豪雨の時も、昨日も、心の底から安心出来た。佳苗のスキンシップから感じるこの安心は、失いたくない。


――自分が壊れてしまいそうだから。


――自分の目標を、佳苗を失ってしまいそうだから。


 佳苗も安心すると言っていた。

恋じゃない…………けど、失いたくない。


 家族みたいに守りたいもの、だ。


 どっちも失いたくない。


このまま曖昧にして、過ごせたのならどれだけ楽やろうか。

けど――


――伝えないと、どっちも失う。

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