第49話 大物になるなんて……
――ピンポーン
「あら、珀多くんいらっしゃい。まさか、日本一になるなんてねぇ〜」
全国大会の次の日、央崎は季楽坂の親にお礼をしようと、家に来ていた。
「さぁさぁ、上がって上がって」
「……お邪魔します」
「佳苗〜、珀多くんが来てくれたわよ」
「珀多くん、いらっしゃい」
「おはよう。佳苗」
「本当に凄いわね。おばさんも中継で見てたんだけど、感動して泣いちゃった(笑)」
「そうだったんですね……(笑)あの、これ、いつもお世話になってるので…………」
「良いのに、そんなの。こちらこそ佳苗がお世話になってます」
「いえいえ、佳苗には昔から支えられっぱなしですから」
「あっ、そうだ!!近くに、お菓子屋さんが出来たから、優勝祝いに買ってくるわね」
「いえ、そこまで…………」
「良いの良いの。おばさんからのプレゼント」
「…………じゃあ、お言葉に甘えて」
「佳苗をよろしくね〜」
――ガチャン
「…………おばさんも変わらんな」
「…………そうだね。珀多くんと出会う前は無理して笑ってたけど、今は本当に心の底から笑ってる気がする」
「少しは気楽になったか?」
「うん…………迷惑はかけるけど、それでも無理して笑うことが無くなったから」
「なら良かった」
「珀多くんは、報道見た?」
「ちょこっとは見たけど…………」
「SNSでも有名になってたよ。テニスを続ける理由がかっこよすぎるって」
「本音を言っただけなんやけどな(笑)」
「…………何よ、それ(笑)小さい時はこんなことになるなんて、微塵も思ってなかった。珀多くんがこんな大物になるなんて」
「別に大物じゃないやん。プロ目指して、遠くに行くわけじゃないねんから(笑)」
分かってる。私のためにも続けてくれてるって…………。けど、怖い。珀多くんがもし、
重圧に負けてテニスを辞めたら…………。
本当にプロを目指して、私に会いに来てくれなくなったら…………。
「…………膝の上に乗っていい?」
「…………ええよ」
季楽坂は、顔を珀多の方へ向けて膝の上に乗った。
「…………安心する」
「…………俺もだよ」




