第47話 準々決勝
…………そういえば、袋の中身見てなかった。
全国大会当日を迎え、控え室で1人になっていた央崎は、1つの袋を取り出した。
ゼリーと、何これ…………?
俺の顔そっくりのぬいぐるみや。裏にメッセージが書いてある…………。
絶対勝利!!
…………縫ってくれたのか。ピン付いてるし、ラケバにでも付けるか。
………………よし。
ぬいぐるみをラケットバックに付けた央崎は、コートへと向かった。
6地域から来てるから、自然と観客数も多いな。
多分やけど、テレビの人も来てるし…………まぁ、別にそれはええや。
央崎の左手は、自然とズボンの左ポケットに伸びていた。
…………俺1人じゃない。この2人がついてるんや。
「セブンゲームマッチ。プレイボール」
まずは、サーブで流れを持っていく。
――バコン
「「「「いっけーいけいけいけいけ、珀多、おっせーおせおせおせおせ、珀多、いーけ、おーせ、大豆山、珀多!!」」」」
応援歌…………蓮香だけじゃないな。けど、誰が歌ってくれているかなんて、聞かんでも分かる。
「イン。ワン、ゼロ」
央崎の後ろから、大歓声と拍手が聞こえてきた。
これだけ大きいってことは、近洛地方の人も喜んでくれてるんだろうな。…………ここで負けてられない。
その後、1ゲーム目はデュースに突入していた。
蓮香とかのアドバイスを意識したつもりやったが、それでも対策されたか…………流れはトントン。ここで取られたらリードさせられる…………。
――バコン
「ビビるな、珀多ーー!!」
蓮香…………そうだよな。俺がビビってどうする!!
「イン。アドバンテージ、サーバ」
その後、1試合目は4対1で央崎の勝利であった。
「ナイス、珀多!!」
「ありがとう!!」
「私の声…………届いた?」
「もちろん。完璧に聞こえたよ」
央崎はラケットを握る手を強めた。
…………昨日の「頑張れ」と同じだ。肩の力が抜けて、動きやすくなった。
…………なんでやろ。
佳苗を思い出すと、負けられんってなる。
蓮香の声が聞こえると…………勝手に体が動く。
「良かった…………」




