第40話 大々的ニュース
「新聞に載ってたよ〜」
近洛大会から2日後、大豆山高校では全国大会の話題で持ちきりであった。
「すごいね。全国進出なんて」
「琴乃、ありがとうな。わざわざ応援に来てくれて」
「友達なんだから、来て当然じゃん」
「にしても、蓮香のことを『良きライバル』って表現したのはしびれたなぁ~」
使われんと思ってたけど、使われたんか…………。
「…………そこ切り抜かれてたのか」
「そうだよ。デジタル版なんて、珀多と蓮香が向き合ってる写真が使われてるよ」
ええ…………別に、蓮香だけが支えてくれたとは言ってないんやけどな…………。
「…………マジやん」
「地方ではちょっとした有名人になったんじゃない?」
「かもな」
「地方でこれだけ報道されるなら、全国で優勝したらすごいんじゃない?」
「硬式ならそうかもしれんけど、軟式やからなぁ。報道はされるかもしれんけど、ここまで大々的にはされんのちゃう?」
「はいはい、授業始めるぞー」
それから、順調に授業は進み、昼休みになっていた。
「(珀多くん、非常階段に来てくれない?)」
「(佳苗、ええけど…………)」
◇ ◇ ◇ ◇
「どうしたんや?」
――チュ
「え…………」
央崎の頬に、柔らかい感触がそっと触れた。
「何、照れてるの。幼馴染とのキスの1つや2つなんか普通のことじゃん」
季楽坂は、少し笑った。
「そ、そうなのか…………?」
でも、佳苗のことを抱っこすることはあっても…………キスは…………。
「しかも、約束しちゃったしね」
「…………もしかして、県大会の時のか?」
「そうだよ」
「…………本気やったんやな」
「私が珀多くんに嘘つくわけないじゃん」
「昔から冗談言ってるやんか」
「そうだっけ(笑)この後予定ある?」
「無いで」
「じゃあさ、ここで一緒にお昼ご飯食べない?」
「まぁ、ええけど。教室に居ても囲み取材されるだけやし」
「…………学校で2人きりって本当に久しぶりだね」
「確かにな。中々、2人で会う機会もなかったし」
「そういえば、全国大会ってどこでするの?」
「志府町ってところらしい。秋も比較的暖かいから、らしい」
「そうなんだ…………そんな遠いところまで連れてってくれるんだね」
「…………こんな進めるとは俺も思わんかったわ」
「ねぇ、珀多くん。新聞で見たよ。支えてくれた人って、山志那さんのことだったんだね…………」
「うん?ああ、あれは正確に言えば違うぞ」
「え?」
「確かに、記者の人に聞かれたから、蓮香は良きライバルって答えたけど、支えてくれたのは琴乃とか行、もちろん佳苗も入ってるぞ?」
「なんで、私も入ってるの?」
「なんでって…………小さい時から応援してたやんか」
「でも、アドバイスなんかしたことないよ?しかも、私のために遊んで、テニスをしてくれて…………私が、珀多くんにあげたものなんかないじゃん…………」
「…………それだけで充分や」
「え…………?」
「それだけで、テニスを挫けずに続けられてるし、俺からしたら充分支えられてるよ。それに…………当日も手紙とゼリー、応援もすごい支えになった」
「良かった…………」
…………ちゃんと、支えあげられてたんだ。
側では支えあげられてないけど、関心は山志那さんの方に移ってなかったんだ…………。
今は…………それだけでも充分。




