第37話 弱気にならないで
なんとか勝てたが、このままで勝ち続けられるのか…………?
央崎は、山志那たちがいるベンチへと向かっていた。
「お疲れ、珀多」
「お疲れ様」
「珀多、どうしたの?」
「(…………大丈夫かな)」
「え、どうして?」
「…………ああ、聞こえてた?正直、今の時点でギリギリやから大丈夫かなって…………」
「珀多…………もう、宣言破るの?」
「え?」
「ここまで来て、弱気にならないの。私も、悲しくなるから…………」
「蓮香…………ごめん。弱気になったらあかんよな」
「珀多くん、ポイントを取ったら、全力で喜びなさい。反則にはならないから」
「全力で喜ぶ…………」
「前々から思ってたけど、試合中に喜びを外に出さなすぎ。感情は出した方が、精神的にも物理的にも効果的だから」
「…………分かりました」
その後、控え室へ戻っていった。
山志那はお手洗いへ、六夜先生は試合を見に行っていた。
1回戦で折れたらあかん。たくさんの期待と、この2つの思いを背負ってるんや。
ポケットに入れた、御守と手紙を取り出した。
…………あれ?この手紙、裏にも何か書いてある。
「この陽峰ゼリーは、自分の気持ちに負けそうになったときに食べてね」
今は………………いや、食べるか。
央崎は、少し接着面がズレた容器の蓋を外し、ゼリーを口の中へ流し込んだ。
…………美味しい。陽峰ってブドウのことか。…………試合にも、自分にも負ける訳にはいかんな。




