第32話 自覚?
せっかく、計画立てたのに…………
――8月末
珀多、最近頑張ってるな…………まさか、近洛大会に行くとは思わなかった。
…………本当に私、おかしくなったのかな。
最近、ずっと珀多のこと考えちゃう…………もしかして、本当に恋?
…………いやいや、絶対にない。
絶対に…………。
「蓮香?」
「どうしたの?お母さん」
「珀多くんのお母さんが、家の前にいるんだけど、蓮香に会いたいんだって」
「…………?分かった。すぐに行く」
◇ ◇ ◇ ◇
「ごめんね。時間大丈夫だった?」
「全然大丈夫です」
「いつも、珀多のことありがとうね。この前、旅行に行ってきたの。お礼と言ってはなんだけど、これ」
「え……ありがとうございます」
「いいのいいの。お母さんにもよろしく伝えておいてね」
「あっ、はい」
「別の袋に入ってるやつは蓮香ちゃん宛てだから」
「わざわざ、ありがとうございました」
別袋以外を母に渡した山志那は、自室に戻り袋を開けていた。
なんだろう…………「ご当地キャラクターのテニスキーホルダー」だ。
あっ、何か紙が入ってる。
「蓮香へ、テニスを続けてくれてありがとう。蓮香のおかげで、俺もテニスを続けてこられたし、なによりサポートのおかげで近洛大会にも行けた。これからもよろしく。珀多より」
私のおかげって…………私の方こそ、珀多のおかげで続けてこれた。
…………ずるい。珀多だけ、私に感謝して。
私にも感謝させてよ…………。
◇ ◇ ◇ ◇
「ねぇ、お母さん。私、珀多に恩返し出来てるのかな…………」
「恩返しって?」
「お土産の袋の中にね、珀多からの手紙が入ってたの。テニスを続けてくれてありがとうって。それで、私も続けてこれたのは珀多のおかげでもあるから、恩返し出来てるのかなって…………」
「なんで恩返し出来てないって思ってるの?」
「え、なんでって…………」
「それは、蓮香が正直になれてないからなんじゃないの?」
「正直に…………」
「前も言ったけど、お母さんには恋しているようにしか見えない。蓮香も本当はそうなんじゃない?」
「恋…………」
元ライバルだった珀多に恋?絶対にない…………。
けど、お母さんのいう通りかもしれない。珀多以外にこの気持ちにはならないし、よくよく考えたら、琴乃を除いて珀多に女子が近づいてたら無性に怒りが湧いてた…………。
本当に恋なの…………?
「万が一恋だったとして、何から始めたらいいのかな…………」
「うーん、珀多くんの大会のサポートはもちろんとして、文化祭を一緒に回るなんてどう?」
「文化祭を…………」
…………どうやって誘おう。




