第27話 珀多とは……
落ち着いたけど…………。
やっぱり、珀多と季楽坂さんの関係が気になる。どうして、こんな気持ちになるの…………また、涙出てきそう。
山志那は、自室のベッドに転がっていた。
1日目の地区大会の時から、明らかにおかしい。
なんだか、夜の時と珀多に応援される時のやつが同時にやってきて、押し潰されそう…………。
そもそも、この気持ちはなんなの?小さい時からそう。この気持ちの正体が分からない。更に、正体不明の違う気持ちが出てきて…………。
「蓮香ー、ご飯よ」
山志那は、1拍置いてからベッドから起き上がり、リビングへ向かった。
「蓮香、最近元気無いんじゃない?地区大会のこと引っ張ってるの?」
「ううん、地区大会のことはもう大丈夫。けど、変なの」
「変?」
「なんか、珀多と居るとよく分からない気持ちになるの。それは気持ち自体は、小さい時から夜になってたんだけど、合宿の時から一日中ずっと続いてて…………」
「腹立つとか?」
「ううん、それはない。お母さんも聞いてるでしょ?合宿を期に仲良くなったって」
「うん、聞いてるわよ。その気持ちって例えばどんな感じなの?」
「例えば…………なんだか、心の奥底がジンジンする感じ」
「うーん…………それって恋じゃない?」
「え!?」
「それだけ聞いたら、私とお父さんが出会った時と全く同じだけど」
「そんなことはない!!いくら珀多と仲良くなったとはいえ、恋なんて…………」
「でも、小さい時からその気持ちなんでしょう?仲良くなった今でも続いてるってことは、怒りでは無いんでしょうし」
「確かに…………けど、恋とは限らないかもしれないじゃん」
「正直、不思議に思ってたのよね。珀多くんに執着する理由が。だって、ママ友の子と小学校で知り合ったからって、執着する理由にはならないじゃない。それなら、幼稚園からの人に対しての方が先に執着しそうじゃない?」
「…………」
「お母さんは、珀多くんと付き合うのアリだと思うわよ」
山志那母の声色が、どんどん上がってきていた。
「ちょっと、勝手に話を進めないでよ!!」
「なんでよ、絶対恋じゃない。やっぱり、子は親に似るわね(笑)」
「ちょっと…………」
そして次の日、県大会当日を迎えていた。
絶対、珀多に恋なんかしてない。仲間としては認めたけど、そこに恋愛感情なんて無い。絶対に…………。
「蓮香、おはよう。ありがとうな、応援に来てくれて」
「うん…………」
え…………何これ。なんか、珀多の顔を見れない。
なんで…………いつも通りじゃん。
「…………どうしたん?何かあっちにある?」
「いや…………何もない」
「おはよう、2人とも」
「おはようございます」「おはようございます…………」
「珀多くん、県大会緊張してると思うけど、頑張ってね。あと、蓮香ちゃんはマネージャーとしてコート内に入れることになったよ」
「そうなんですね…………」
「どうしたの?イヤだった?」
「いえ…………大丈夫です」
その後、央崎はウォーミングアップを終え、1回戦が始まるところであった。
――バコン
「いっけーいけいけいけいけ、珀多…………おっせーおせおせおせおせ、珀多…………いーけ、おーせ、大豆山、珀多…………」
どうして?普通の応援じゃん。なのに、声が出にくい…………。
「「「「「珀多、頑張れーーーー!!」」」」」
すると、観客席から応援が聞こえてきた。
この声って…………珀多のお母さんとおじいちゃん、琴乃に行。それと…………。
「いっけーいけいけいけいけ、珀多、おっせーおせおせおせおせ、珀多、いーけ、おーせ、大豆山、珀多!!」
会場にはもはや、央崎陣営の応援しか響いていなかった。
「ゲームセット。4対0で央崎珀多の勝利」
「「ありがとうございました」」




