第25話 そんなこともあったな
蓮香はなんであの時、力を出し切れてなかったんや?
地区大会終了後、央崎は季楽坂の家へ向かった。
――ピンポン
「――はーい。あっ、珀多くんじゃん」
「ごめん、急に来て」
「ううん、上がって上がって」
「お邪魔します」
この家も佳苗も変わってないな。まるで、小学生の時に戻ったみたいや。
「家に上がったのも久しぶりじゃない?小3以来かな」
「そうやな。……ありがとうな、一昨日は」
「うん、久しぶりに珀多くんがプレイしているところ見て、元気が出た」
「それは良かった。体調は大丈夫そうか?」
「うん、全然大丈夫。元気いっぱいだよ!!」
「またそんな暴れたら、咳、止まらんくなんで」
「もう、いつまで幼稚園生だと思ってるの」
季楽坂は、央崎の顔の近くまで自身の顔を近づけた。
「相変わらずやな(笑)佳苗は」
「当たり前じゃん。珀多くんなんだから」
「それは理由になってないぞ(笑)」
季楽坂は央崎のすぐ隣に座った。
「にしても、懐かしいね。こうやって横並びになるなんて」
「よくこの並びで世界オープンばっかり観てたもんな」
「ね。それで、珀多くんが解説してくれて」
「そんな事もあったな(笑)」
「今は体調も良くなって、珀多くんの試合も観れて楽しいなぁ〜」
「試合って言っても、世界オープンよりは迫力に欠けるやろ?」
「迫力なんて関係無いよ。珀多くんが真剣にテニスに向き合ってる様子を観るのなんか、世界オープンなんかより、楽しいもん」
「…………そうか。佳苗が楽しいのなら、続けてて良かった」
「…………ねぇ、珀多くん」
「どうした?」
「……あの日のこと覚えてる?」
「あの日?」
――十数年前
「なぁ、かなえ」
「どうしたの?」
「その……おれ、かなえの側でずっと笑顔を見たい。だから、結婚してください!!」
「嬉しい!!約束ね」
「うん!!」
「「ゆびきりげんまん――」」
「あー、したな。我ながら、無謀なことしとるわ(笑)」
「それに時効は無いからね?」
「…………え?」




