第24話 様子が変
「頑張れよ」
「うん…………」
なんか、元気が無いような気がする…………気のせいか?
「セブンゲームマッチ。プレイボール」
――バコン
「フォルト」
――バコン
相手選手から、下から打たれた弱めのボールがちょうど良いところに落ちた。
「え?」
高めの軌道で返した?あのボールなら攻めれたやろ。特に、蓮香なら。
その後も山志那は、高めの軌道か力の入っていないボールばかり打っていた。
「先生、蓮香の様子、変じゃないですか?」
「確かに、蓮香ちゃんらしくないボールばっかり打ってるわね」
「……いっけーいけいけいけいけ、蓮香、おっせーおせおせおせおせ、蓮香、いーけ、おーせ、大豆山、蓮香!!」
「…………変わらないわね」
「そうですね…………」
「何かあったのかしら」
「どうなんでしょう」
「応援のアプローチを変えてみてもいいかもしれないわね」
「アプローチを変える?」
「そう、精神的に鼓舞する応援じゃなくて、アドバイスを叫ぶのよ。今だったら、『ビビるな〜』とかどうかしらね」
「それはアドバイスなんですかね…………」
「まぁ、とりあえずやってみて」
「はい……蓮香ーー、ビビるなーー!!」
――バコン
山志那の打ったボールは、相手選手の真横スレスレに着地した。
「デュース」
急に、キレが出てきた…………応援もケースバイケースなのか?
「なんとか、戻ったわね」
「そうですね。このまま持ち堪えてくれたらいいんですけど…………」
山志那はこの試合を勝ち取り、休憩していた。
「蓮香、大丈夫か?」
「うん、大丈夫…………」
「スポドリいるか?」
「うん、お願い」
「ビビらんでええからな?どんどん、攻めたらいい。充分、技術あるんやから」
「うん、ありがとう…………」
その後の試合は、惜しくも3対4でベスト16であった。
「…………ありがとうございました」
「その…………惜しかったな」
「どんまい、蓮香ちゃん。こういう時もあるわ」
「うう…………せっかく、サポートしてくれたのに…………」
山志那から、大粒の涙が溢れていた。
「そんなん、気にしなくてええから」
「そうよ。私たちは全員でワンチームなんだから。それに、蓮香ちゃんが努力してることはここにいる全員が知ってるから、ね?」
「それでも…………皆の期待を裏切って…………」
「…………蓮香」
山志那が泣き止むまで、央崎と六夜先生は山志那のことを見守っていた。
「…………ごめんなさい。取り乱して」
「良いのよ。本来の力を出せなくて県大会に進出できなかった悔しさはよく分かるし」
「…………次の部活っていつですか?」
「3日後よ」
「…………分かりました。それまでには心の整理しておきます」




