第15話 応援
「先生、あれって良いんですか?」
「うん。やり過ぎは良くないけど、あれぐらいならむしろ普通のこと。あれで、苦しめられたり、鼓舞されているところを私は何回も見てきたわ。珀多くんもやってあげたら?」
「応援…………分からないんで、相手のやつを真似るだけでも良いですかね?」
「昨日の夜見てる限りだったら、それだけでも充分だと思うわよ」
「…………昨日の夜?もしかして、見てたんですか!?」
「当たり前じゃない。いい感じだったから、影で見てただけだけど」
「…………もしかして、丹原先生も?」
「なんなら、校長先生にも見てたわよ」
「全員に見られてたんかよ…………」
「そろそろ、次の球が打たれるわよ」
「あっ……………………いっけーいけいけいけいけ、蓮香、おっせーおせおせおせおせ、蓮香、いーけ、おーせ、大豆山、蓮香!!」
えっ…………珀多?
もう、どうにでもなれ!!
――バコン
山志那から放たれたサーブは、相手が動いた方とは逆に鋭く着地した。
「ツーバウンズ。ワンオール」
え、自暴自棄に打ったはずなのに入った…………。
もしかして、応援の力…………?
「「「おお…………」」」
大豆山サイドから感嘆の声が漏れた。
「ね?これが、応援の力よ。先生たちは立場上出来ないけど、珀多くんだけでも蓮香ちゃんには、大きなアドバンテージになるわ」
「これで勝ったら、学校通信で堂々と載せれるんじゃないか?」
「そうですね、校長」
「…………応援も良いものですね。なんだか、自分も一緒に戦ってるように感じます」
「でしょ?この合宿が終わったら、2人だけのオリジナル応援歌を作るのもアリだわね」
「下手したら、アウトになりそうですけど…………」
その後も試合は続き、接戦の末、4対3で山志那が勝った。
「「ありがとうございました」」
やった、勝った。ヘトヘトだけど、今日はこれ以上試合は無いし、後は…………。
「お疲れ、蓮香ちゃん!!良かったわよ」
「ありがとうございます、六夜先生」
「こりゃあ、大スクープやな。学校通信で大々的に載せたいわ(笑)」
「校長先生、練習試合ですよ?」
「それでもだよ。これまでの過程から鑑みたら充分なスクープだわ」
「…………ありがと。応援してくれて」
「…………おう」
「その…………珀多も頑張ってね」
「当たり前や。じゃあ行ってくる」
「私も審判行ってくるわね」
◇ ◇ ◇ ◇
「お疲れ〜蓮香ちゃん。めちゃくちゃ良かったよ」
「ありがとうございます、丹原先生」
「もしかして、応援が許可されてるってこと知らなかった?」
「はい。最初は、気圧されちゃって…………」
「でしょうね。けど、珀多くんの応援で持ち返せるだけの精神力があるんだから、大会でも大丈夫そうだね」
「そうなんですかね…………正直、不安です」
「どうして?」
「その…………さっきのは実質、珀多のおかげっていうか、私1人の実力じゃないから…………」
「でも、珀多くんとは仲直りっていうか、仲良くなったんでしょ?」
「ま……まぁ」
「じゃあ思う存分、力を借りたらいいじゃん。ペアで出れる大会は少ないかもしれないけど、仲間なんだからさ」
「…………」
「急な関係性の変化で、気持ちが整理出来てないかもしれないけど、さっき珀多くんが応援してくれたように、応援してたらそのうち整理出来るって」
「…………分かりました」




