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第92話 久しぶりの研究所

 あれからわたくしは、ハロウェル領の基地と、研究所及び領都を攻撃したことで増えてしまった大量の書類仕事をなんとか終わらせました。それにしても万年筆で手書きのサインなの、何とかなりませんこと? 紙の書類なんておクソですから、さっさと全部電子化してくださいまし! ああ……パソコンのある世界が妬ましいですわ!!!


 そういえば今回の攻撃でハロウェル家の前当主も死んでおりました。シャノンのエネルギー砲の錆びとなったようです。特に重要な事項ではありませんでしたから忘れておりましたわ。オホホ……。


 ということで近日中にハロウェル領都を制圧に向かうことが決まりました。ハロウェル侯爵領と、その北にあるウェイクリング公爵領の境目付近にはウィングリー寮駅もあります。そこを押さえれば列車に頼った輸入も止まるでしょうし、ウィングリー王国にとって痛手となるはずです。



◇────────────────◇



 そして翌日、わたくしは翠蘭に会い……クレームを入れに夜月イーリン研究所に向かいました。グローシアに燦々と陽の光が降り注ぎます。7月の下旬に入ってすっかり季節は夏です。


「わたくし絶対水着イベントを起こすんですから!!!」


 決意を新たにわたくしは夜月研究所の入り口に着地しました。それにしても久しぶりに訪れましたわね。もうここは人里の近くでできないようなMA関連の実験と、スポット産素材の集積基地にしか使っていないと聞いていたのですが……。


 格納庫に入ると、そこにはバラバラにされたアラフニス3が転がっていました。コクピットブロックまで解体されているようで、そこには不揃いのピュアマギコークスクリスタルが10本以上転がっています。それに割れてしまったのか元々そうだったのか、破片や小さなものもたくさんありました。流石のわたくしもこんな大量に見るのは初めてですわね。


「ん? ヴィアリス、何しに来たんだ?」


「あなたねぇ……」


 グローシアから降りてアラフニス3の解体現場を見に行くと、そこには相変わらずの赤髪ロングポニテにチャイナドレスを着たおかしな格好の女が居ました。……まぁこれを着せたのわたくしなんですけど……。


「あなたカラネアの仕事もしないで何やってますの! わたくしが代わりにやらされたんですからね!!」


「ああ、すまん。今はこっちの方が重要なんだ」


「ゲーム配信で食っていくなんてわたくし認めませんわよ!」


「え? 何の話だ? まぁなんだ、絶対に私たちに必要なものを用意しようと思ってな……」


「と言いますと?」


「ジェニシアをどうにかしない限り、私たちは攻めることができない」


「それはそうかもしれませんが、仕事を放り出していい理由にはなりませんわ!」


 すぐに仕事を放り出すわたくしの言葉を聞き、翠蘭はぐっと眉をしかめました。それから格納庫の隅に置かれていたグローシアのチェーンソーを指差しました。


「どうせハロウェル領都とウィングリー寮を制圧しようとか考えていたんだろう?」


「ぐぬっ!?」


「ジェニシアが来て追い散らされるだけだぞ。しかし向こうもジェニシア単騎じゃ私たち全部を相手することはできない。そこであれだ!」


「あれってチェンソーでジェニシアに勝てるんですの?」


「そうだ! そして素晴らしいタイミングで手に入った大量のピュアマギコークスクリスタルの出番だ! お前が手に入れたレガシーによってピュアマギコークスの加工方法、そして武器への転用方法がだな……」


 顔を紅潮させながら興奮気味にぺらぺらと語り出す翠蘭。身振り手振りを交えて語り出すものですから、白い脚と白い腕がチラチラしてわたくしを惑わせます。

  

「なるほどなるほど……、完全に理解しましたわ。あ、ちょっと待ってください。この話長くなりそうですの?」


「ああ、この本に載っていた第1世代MAの……」


「でしたら失礼しますわね。よいしょっと」


 わたくしは翠蘭をお姫様抱っこすると、翠蘭の私室に向かって歩き出します。本当に話のなげー女なんですから……。まぁこんな女好きなのわたくしだけでしょうね!!


「なっ、何をする!? 仕事の邪魔をするな!」


「はいはい。黙って連行されましょうね~?」

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