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第91話 王都では

「それで王都はどうなっていますの?」


「それなのですが……」


 うちの幹部の一人──いつぞやの課長さんです──が立ち上がると、王都での戦闘の顛末について時系列順に説明し始めました。


 まずわたくしたちも報告を受けたように、ハロウェル家への救援のためにジェニシアが発進しました。第1世代MAであるジェニシアならば、王都とハロウェル領都の間を2時間程度で移動できるでしょう。


 そして王都を監視していたピロフォリオからの報告によると、発進から1時間ほど経った頃、それは始まりました。元々防衛ラインを攻めようとグダグダしていた部隊の一部がなぜか王都の近郊に駐留していたのですけれど、その部隊がウィングリー王の住居……すなわち王城を占拠しました。


「その首謀者は誰でしたの?」


「それなんですが首謀者はウッコネン公爵です。王城に引き入れる手引きをしたのが現王派の大臣だと言うんです」


「王と言いますとウィングリー王ですの?」


 思わず聞き返してしまいましたが、スパイからの情報も合わせるとそうとしか考えられない状況でした。


 当時、王は第3王子によって城内に監禁されており、それを救うために現王派の大臣がそれを手引きし、駐留していた部隊を指揮するウッコネン公爵が王城へ突入したというのが実際のところのようでした。


 ちなみにウッコネン公爵はウィングリー王国のエクソシア家の真反対の海沿いに領地を持つ方で、昔からウィングリー王とも仲がよろしかったはずです。ウッコネン家はうちとも遠い親戚です。と言いますか国内の高位貴族なんて皆遠い親戚みたいなものなのですけれど……。


 そしてウッコネン公爵率いる一軍は、第3王子のジェニシア()の居ぬ間に王の救出に成功…………したまではよかったのですけれど……。反転したジェニシアがウッコネン公爵軍と激突しますと、それはもう嘘みたいにボロ負けして敗走したそうです。普通に考えると、何かジェニシアに対抗できる手段があったから動いたと思うのですけれど……。


 ウィングリー王国の発表によると、その際不慮の事故にてウィングリー王は死亡してしまったようです。……これは第3王子がりましたわね?


 よくよく思い返してみましたら、原作ではジェニシアってどうやって倒すんでしたでしょうか。もちろんゲームのボスですから、倒す手段が用意されていたはずです。おびき出してから罠にかけて弱体化させるみたいな感じだったような……? わたくしいつも機体性能のゴリ押しで倒していましたのよね。なんだかんだレベルを上げて物理で殴るのが一番手っ取り早いのってあるあるですわよね。


「……ウッコネン公爵軍壊滅により反乱は失敗し、ウッコネン公爵も戦死されました。そして第3王子が王位を継承し、第18代ウィングリー国王を名乗りました」


 会議室内にしんと沈黙が降ります。第3王子の野郎、やりたい放題してますわね……。


「これは不確定な情報なのですが……」


 報告を終えた幹部の方が言いにくそうに話の続きを切り出しました。


「『第3王子は第1王子だ』との噂がウッコネン軍よりもたらされておりまして……

。こちらも真偽の確認のしようがないので困っているところでして……」


「第1王子ですか? 第1王子ならわたくしが闘技大会の客席でミンチにしたはずですけど……」


「……言い方」


 ありのままを口に出したところ、未夢からクレームが入ってしまいました。


「では念のため、ハロウェルのあれに聞いてみてください」


「わかりました。そのように伝えておきます」


 幹部さんの言葉を聞くと、カラネア諜報部の者と目が合いました。彼も神妙な面持ちで頷きましたので、任せておけばよろしいでしょう。


「これ以上報告がなければ解散にしたいところなのですけれど……。ところで翠蘭はどこに行きましたの?」


「そ、それが主任は研究所の方に戻られていまして……」


 詳しく話を聞いてみると翠蘭はアラフニス3を見るために、わたくしたちとすれ違うように夜月研究所に向かってしまったようです。緑色の王子みたいな女ですわね!?


「そうですか……。次会ったら文句のひとつも言ってやらないと気が済みませんわね」


「ヴィア、だから決裁書類が溜まっているの」


「はい?」


 わたくしの隣で静かに報告会を静観していたシャノンが、突然わたくしの肩を掴みました。なぜか目が笑っていないんですけど……?


「翠蘭さんが仕事を放棄したせいで、私が代わりにやってるの」


「そ、そうですか。それは大変ですわね……。頑張ってくださいまし」


 危険を察知したわたくしはそっと肩に置かれたシャノンの手を外すと……は、外れませんわ!?


「ヴィアも手伝ってね?」


「嫌です! わたくしはこれからお休みを頂くんです!」


 しかし残念ながらここでわたくしの休日は終わってしまったのでした……。おファック!

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