第90話 顛末
さっさと逃げると言いましても、色々とやらねばなりません。このアラフニス3も置いてはいけませんし、現在ハロウェル領都を攻撃している部隊もいるはずです。あちらにジェニシアがいってしまったら、壊滅的な打撃を被ってもおかしくありません。
「このアラフニス3を回収してください。領都の部隊はどうなってますの?」
「回収……ですか? ジェニシアは報告では2時間もかからず到着すると思われますが……。領都の部隊には通告済みです。あちらも部隊長の判断により撤退することになりました」
部隊長とはジェイムス隊長でしょうか? まぁ彼は見た目によらず慎重派ですから、無理をせずに撤退するでしょう。
「わたくしも手伝いますから。それとこの男も一緒に運びますわよ。他の方も手伝ってください。もちろん未夢もですわよ!」
それからわたくしたちは大急ぎで準備を始めました。ワイヤーを使ってアラフニス3の胴体部分を吊り上げ、手足はちぎって運ぶこととなりました。害獣さんもきちんと死なないようにしてから運びます。……手足はバラしてないですわよ?
それからやっとの思いでこのおクソバカデカいMAを運び始めた時、再びピロフォリオから無線が入りました。
『緊急です! 王都にて反乱が発生! ジェニシアが引き返していきます!』
『え? 王都? 王都って王都ですの?』
『王都は王都です!』
『……あなたたちは何の話してるの?』
混乱したわたくしは、通信士からもたらされた情報を噛み砕くには少し時間が必要でした。ウィングリー王都近辺に潜伏している偵察機、ピロフォリオからの報告によると現王派が第3王子派と戦闘を起こしたというのです。
『どういうことですの? 誰か説明してくださいまし!?』
『……わかんないからさっさと帰ろう。急がなくていいなら、これももう回収班に任せればよくない?』
『それもそうですわね……。ちょっと休憩してから帰りましょうか』
状況が不透明なままわたくしと未夢のスキア隊は帰還することとなりました。
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帰ってから行われた報告会の内容でまず驚いたのは、ハロウェル領都を攻めた部隊を指揮していたのがシャノンだったことです。わたくしはシャノンが亡命政権の方たちの相手をしているのかと思っていたのですが、実際はお父様が相手をしていたようです。……言われてみればそうなりますわね!
シャノンはああ見えてフォトゥネス寮に居た頃から、前線でバリバリ指揮しまくってたみたいですからね。ジェイムス隊長ごとまとめて指揮してハロウェル領都に最短距離で進軍すると、まずは降伏勧告から始めたようです。もちろんハロウェル家はそれを拒否、MAを発進させ戦闘となります。
戦闘は100機近いスキアを動員したシャノン隊の圧勝。敵MAを排除したあとバラ撒いたラジオと持ち込んだスピーカーを使って夜中のハロウェル領都にハロウェル家の悪行を糾弾し、民衆を味方につけようと説教を垂れ流しまくっていたそうです。わたくし本当にシャノンを敵に回さなくてよかったですわ……。
しかしシャノンの説教が佳境に入ったところで残念なお報せが届きました。ジェニシア襲来の報が入ったのです。
シャノンは残された時間が少ないと悟ると、そっとヘーメラーのエネルギー砲でハロウェル侯爵邸を狙撃。「また来ます」と捨て台詞を残して撤退して来たとのことです。流石わたくしの女です! イカれてやがりますわ! 話を聴きながら思わず拍手をしてしまいました。
そしてわたくしと未夢隊の報告は副長さんが担当されました。起こったことがありのまま報告されていきます。ちなみにアラフニス3はスポット内にある夜月研究所に運ばれたとのことでした。うちの格納庫にはアラフニス3は大きすぎて入らなかったみたいですわね。
現ハロウェル侯爵こと害獣さんと、アラフニス3のコクピットに閉じ込められていた8人の被害者は当騎士団にて収容されています。害獣さんの行き先はカラネア諜報部ですが……。
アリシアの妹ズは一旦我が家で引き取ることになりました。先ほど見かけた時は我が家の中を走り回っておりました。元気そうで何よりですわ。
「それで王都はどうなっていますの?」




