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第76話 雪猿

 アグリオスのモニターから見える地上の景色は一面の銀世界でした。こういうゲームに出てくる豪雪地帯って、なぜかあまり吹雪いたりはしていないの、不思議ですわよね?


「……こんなところまで来なくちゃいけなかったの? ……それでどこに撃てばいい?」


「わー! すっごい寒そうだね」


 早く主砲を撃ちたくてウズウズしている未夢と、どう見ても観光気分ではしゃいでいるアリシアを連れて、わたくしはアペルピシア山脈の麓のとある場所を訪れていました。


 本日のターゲットは雪猿と呼ばれる魔獣です。これが猫科の動物なら白くてふわふわした可愛い生物なのでしょうが、残念ながら雪猿は白くてごわごわした体高8メートルはある類人猿です。デカい岩とか投げてきますわよ。


「今日は雪猿を狩りますわ。といってもその辺りに居るのをチマチマと狩るわけではありません。巣を狙いますわよ!」


「……そんなのどこにあるの?」


「まぁ見てらっしゃい!」


 一旦地上に降りると辺りに鈍い轟音が響き渡り、辺りに生えていた木々からドサドサと雪が落ちていきました。やっぱりこの機体は重いですわねぇ……。


「これってエネルギーブレイドはどこに積んでますの?」


「……この機体に近接武器はない」


「なんですって!?」


「あはは! 思い切ったねー」


 なんだか呑気なアリシアの笑い声を聞いていると心が和みますわね……。


「それで武器は……」


 わたくしが武装についてたずねようとすると、ガンッ! と硬質で不快な音がコクピットに響きました。


「いだっ!」


「ヴィアリスさんは別に痛くないでしょ?」


「心が痛がってるんですわ!」


「……任せて」


 わたくしが飛来物の方向にアグリオスの顔を向けると、そこには歯を剥き出しながらこちらを威嚇している雪猿が……《《居ました》》。


 未夢が発射した指ビーム……もとい指エネルギー砲によって粉砕され、雪とその周りの木々に赤い染みがビシャっと飛び散ります。まぁそうなりますわよね……。


 熱線でバラバラにされた雪猿だったものからは、もうもうと湯気が上がっています。また断末魔の悲鳴と共鳴するように遠くから雪猿の雄叫おたけびが聞こえてきました。


「目的地まで飛んでいきますから、よしなにお願いしますわね」


 推力を上げながら浮かび始めるアグリオスの操縦感は何度やっても重いですわね……。


 飛行している間に近寄ってくる雪猿は未夢が射殺していきます。アグリオスは機体の側面にも搭載されている機銃から実弾も発射できるようになっています。実弾の発射される心地よい音が機内にも響いてきます。環境にはあまりよろしくないですわね。


「……これがスコアに入ればいいのに……」


 機銃の音の合間にスコア厨の呟きも聞こえてきました。すっかりわたくしのスコアをぶち抜いていってしまったので、いまや未夢はエクソシア公国のエースパイロットです。遠距離攻撃なんてセコいですわよね!?


「あそこですわ」


 わたくしたちの目の前に現れた洞窟の入り口には大量の雪猿が居ました。わたくしは飛んでくる岩を必死に避けようとしますが、鈍重なアグリオスではすべてを回避することができませんでした。


「ちょっと! 言うこと聞きなさい!」


「手伝おうか?」


「て、手伝うなんてできますの!?」


 アリシアが操縦桿を握ると少しだけ機体の動きが軽くなりました。この機体が5人乗りだった理由はこういうことなのでしょうか? といってもいまだに投げ付けられた岩がガンガンと当たっているのですが……。


「ヴィアリスさん、そもそもこれ1人で動かすものじゃないと思うよ?」


「それならもっと早く言ってくださいます!?」


 その間にも未夢が目を爛々と輝かせながら雪猿を血煙に変えていきます。わたくしたちは与えていけない人物に力を与えてしまったのかもしれません……。


 洞窟の入り口が真っ赤に染まりきった頃、アグリオスは洞窟の入り口付近を制圧致しました。

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