第73話 収録
おクッッッソ面倒なチアリーダー同好会との抗争も終わり、わたくしに再び連休が訪れ……るはずでした。でしたのに……!
しかし世界はそれを許してくれませんでした。
「いいから来い!」
「確認なのですけど、わたくしこの国で一番偉いんですわよね……?」
「そうだ。だからやるんだ」
「そんなぁ……」
わたくしは翠蘭の魔の手によって密室に押し込まれ、マイクの前へと引き立てられました。そしてカラネア諜報部の方が無言で台本を渡してきました。
「わたくし、こういうの苦手なのですが……。お友達に噂されたら恥ずかしいですし……」
「じゃあ1ページ目からいくぞ。できるだけ外行きの綺麗な感じで頼むぞ。録り直すのだってタダじゃないんだ」
「はい……」
台本の内容は簡単にいうとウィングリー王家を非難する内容です。人体実験、エクソシア家への攻撃、王家やハロウェル家の悪事、ウィングリー王国の重税、第1王子の死などなど……。事実も織り交ぜながら、嘘ではありませんけれど、かなり誇張された内容等も混ざっており、わたくしがウィングリー側だったらブチギレる内容です。この台本を作ったのは誰なんでしょうか? わたくし金一封出してあげてもよろしくてよ!
「……どうかっ! どうか皆様……わたくしたちをお助けください……! …………はい、どうです?」
『なんでそんなに演技が上手いんだよ……』
わたくしの涙ながらの演説はなぜか呆れられてしまいましたけど、その後もわたくしは数パターンの台本を読み上げました。幾度か録り直しもありましたが、わたくしの手にかかれば……声にかかれば? 楽勝でしたわ!!
あとで聞いた話なのですが、わたくしより先にシャノンも似たような内容のものを録音していたそうです。かなり苦戦したようで、何度も撮り直しては凹んでいたらしいです。とっても見たかったですわ~~~~!!!
これをなぜ録音したのかといいますと、例のラジオバラ撒き計画が進行し、次の段階に進んだからですわ。ウィングリー王国全土にほぼほぼラジオ配布が完了しました。
これからはわたくしたちのプロパ……民に真実を届けるためにラジオを放送をしなければなりません。そこで我が国最新のMA「ピロフォリオ」の出番です。ピロフォリオには無線の傍受や妨害、発信、さらには無線や電波の中継、増幅をする機能もあります。もちろんラジオの中継だってできるのです!
あれからピロフォリオは増産されており、ウィングリー王国全土にラジオの電波をもたらす数も揃いました。これからウィングリー全土に毎日わたくしとシャノンの声をお届けできるようになるのです!!! ラジオにはわたくしとシャノンがニッコリと微笑む写真が何枚か同封されています。初回特典ですわね?
ちなみに以前も少しお話しましたが、ピロフォリオの見た目はブースターに脚が生えていてアンテナとカメラが生えたような姿をしています。もしウィングリー軍に捕捉されたとしても、とんでもない速さで飛行して逃げることができます。
「でもラジオってチャンネルといいますか、周波数を合わせてもらわないと聞いてもらえませんわよね? どうしますの?」
「そんなもん奪うに決まってるだろ? ウィングリー国営放送を爆破する」
「なっ、なんですって!?!?」
青天の霹靂とはまさにこのことですわ! 翠蘭がまさか、まさかこんな計画を建てるなんて……。わたくし信じられません!
「…………素晴らしいですわっっ! 翠蘭もよくよくわかってきましたわね!!!」
「お前にそう言われると不安になってくるな……」




