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第72話 徒労

「では我が天道の力、とくと見よ!」


 立ち上がった上清のMA、名を「天道」と言うみたいです。なんだか大層なお名前ですわね。


 紫后もMAに乗り込み、わたくしと上清とともにひらけた場所に移動します。監視所の近くで戦うのは流石に迷惑ですものね。


「期待外れではないことをお祈りしてますわ」


「その自信いつまで続くかな?」


「そういうのいいですから、いきますわよ」


 相対したグローシアと天道。天道は角の意匠が多めの黒い重装MAでした。こんなので本当に格闘戦ができますの?


「えいっ!」


「少し揉んでやると……ぬわっ!?」


 全開で接近し繰り出したグローシアのパンチをギリギリ避ける天道。そのまま蹴りをくれてやりますと、それを防ぎながら距離を取りました。……全然ダメですわね……。


「それは機極術の動きではないか!?」


「……紫后の方が強かったのではありません? わたくしがっかりですわ」


「クソッ! あと50年若けりゃな……」


「大分図々しいですわね……」


 それから何度か拳を交えましたが、何も得られるような感覚はありませんでした。やっぱりだめですわね……。


「よくよくわかりました。ではそろそろ死にましょうか。大丈夫です。痛くしませんから」


 わたくしが戦いの中で培った、機体はそのままパイロットには死んでもらう技術を発揮しようとしたところ、乱入者が現れました。


「待っとくれ! 謝ります! 謝りますから待って!」


 ズザザと土煙を巻き上げながらホバー土下座スタイルでわたくしと上清の間に紫后のMA「北玉」が割り込んできました。


「上清様もよろしいですね!?」


「う、うむ……」


「今更ですの? 小指の先くらい貰わないと気が済みませんわね」


「すまんかったァ!!!」


 ザン! と勢いよく土下座する天道。この勢いのいい土下座っぷりはリュドヴィックの生徒会長ベアトリスのことを思い出します……。元気にしているんでしょうか? またあの尻を揉みたいですわね。


「わたくしの休日を潰した罪は重いですわよ。やっぱり第二関節までもらいましょうか」


「私たちより強い人物がおります! ね? 上清様、居ますよね?」


「う、うむ……。機極術の中でも格闘においては祝融しゅくゆうが最強だろう」


 こいつらタケノコ剥ぎみたいなやつらですわね……。タケノコ剥ぎが何かというとえっちなお店で最初は安い料金なんですけど、脱いだり追加のサービスごとに追加料金を取られて最終的にはとんでもない値段になってしまう詐欺のことですわよ。皆様も気をつけましょうね。


「だったら最初から連れて来やがれですわ!! 全員頭を剃り上げたあとエクソシア家の紋章を彫り込んでやりますからね!!!」


 この後賠償についての話し合いがもたれ、爺はそいつを呼びに、紫后はあのおっさんの顔を見に同行することとなりました。……何度手間なんでしょうか? わたくしもそろそろ暴君デビューしてもいい気がしてきましたわね……。


 その祝融なる人物は自他ともに認める機極術の格闘術最強らしく、今は桜照皇国でボディーガードをしている、とのことでした。わたくしがそいつをぶん殴れるのはいつになるのでしょうか……? そもそもこいつらと抗争? を始めたのってなんででしたっけ? わたくしわからなくなってきましたわ……。


 尚おばさんとおっさんの再会については、わたくしは興味がないので割愛致します。結局うちで捕虜ライフを送っているチアリーダー同好会の3名は、2ヶ所の監視所の修繕費諸々を弁済するためにスポットの鉱山送りとなりました。しっかりコキ使って頂きましょう。

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