第69話 罰
「ヴィア、ちょっといいかしら」
会議が終わったところで、シャノンの可憐な声がわたくしを呼び止めました。
「ちょうどよかったですわ。わたくしもシャノンに聞きたいことがありましたの」
今回の反省会では主人公についての報告がありませんでした。結局あの後どうなったのか、バタバタしていましたからよくわかってませんのよね。
わたくしはシャノンに連れられてシャノンの自室に赴きました。初めてシャノンの部屋に入りましたが、何もないですわね……。
部屋にはベッドと机と1つの椅子、それに小さな衣装棚くらいしかありません。ここに来る時から荷物が少ないとは思っていましたが……。この戦いが落ち着いたら一緒にお買い物にでも行きましょう。死亡フラグではないですわよ?
シャノンはわたくしを椅子に座らせると、自分はベッドのふちに座りました。……誘ってます? いえ、それよりわたくしは一言シャノンに物申さねば気が治まりません!
「シャノン! 前からあなたに言いたいことがありましたの!」
「な、何ですか?」
「あなたお化粧もしてないのになんでそんな可愛いんですの!?」
「ヴィア……私はあなたに謝らなければなりません。私はアインを逃がしました」
「あ~……あれ? そうなんですの? お化粧してないのに可愛くてごめんなさいではなく?」
「あの、お化粧は少ししてますから……。ではなく! もう一度言いますね。私はアインを逃がしました。ごめんなさい……」
「なぜそんなことを?」
割りとどうでもよかったのですが、あえてわたくしはそう尋ねました。
シャノンの答えは単純でした。シャノンがアインを憐れんだ結果です。もう彼は皐月学園を自主退学しており、これからは傭兵として生計を立てていくことにしたようです。
原作でもそのルートはありましたから、わたくしはそのことは予想しなかったわけではありません。
それを彼に決心させたのは闘技大会の賞品が彼のものになったためだったようです。決勝戦でわたくしの乗るエフカリストに、主人公と第3王子の双方が撃破された結果、後日の再戦を第3王子が辞退。結果的に主人公の優勝となったようです。
優勝賞品等は入賞者に一度授与されたあと、寮へ寄付されるのが通例なのだそうですが、主人公はそれを拒否し、自らのものとしました。そのためわたくしが回収を忘れていたピュアマギコークスクリスタル、通称「ノスタルジー」は彼のものとなったのです。
そして何やらその時に何者かが主人公に助言というか……甘言というか……まぁ唆したやつが居るらしいのです。その助言者は主人公に出資し、MAの建造を手伝いました。わたくしの記憶では原作ではそのような輩は居なかったはずなのですが……。
出資や助力の見返りとして主人公を利用しているように見えた、とはシャノンの言です。またあいつはわたくしの邪魔をしに現れる気がしますわね!
「主人公を逃がしたのは、まぁいいですわ。シャノンの居なければあの時ジェニシアを止めることはできなかったでしょうし。シャノンはわたくしのお友達を助けてくれた恩人ですわ」
あの時シャノンの掩護でジェニシアの攻撃を止められていなければ、あのままアラフニス2ごとアリシアを斬り捨てられていたことでしょう。繰り返しになりますが、シャノンはわたくしのお友達の命の恩人です。
「それにしてもあのMAはすごかったですね……」
「そうですわねぇ。あれには流石のわたくしも困ってしまいましたわ」
殴っても蹴ってもまったくダメージが入りませんでしたし、ヘーメラーのエネルギー砲の直撃すら、ジェニシアをひるませるだけでしたからね。ジェニシア対策をどうするかはこれからよく考えなければいけませんわねぇ……。
「まぁ、それはそれとして!」
「どうしたの?」
わたくしは椅子から立ち上がると、小首を傾げてこちらを見ているシャノンの目の前に……可愛いですわね……いえ、心を鬼にしなければなりません!
「シャノン、わたくしはいいとは言いましたが、罰がないとは言っておりませんわよ!」
「きゃあっ!」
ベッドのふちに座っていたシャノンをベッドの上に押し倒すと、よいしょとベッドの上に上り、そしてシャノンの上に乗ります。
「わたくしが焦らして遊ぶのは好きなのですけど、焦らされるのは性に合わないと気がつきましたわ! 今日から3日はお休みを頂きましたし、覚悟しなさいシャノン!」
「えっ? ええっ!?」
とりあえずスカートでもめくっておきましょう。……白ですわ!




