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第61話 旅立ち

「今だけは師匠と呼んで差し上げますわ! どんどんいきますわよ!」


 そのまま打ち合うこと数分。段々とコツがわかってきましたわ。さらに上手に手加減ができるようになってきましたもの!


 けれど大変申し上げにくいのですが、これってもうわたくしの方が上ではなくって? 逆にわたくしが手加減して手ほどきしているみたいになってきちゃいましたわよ。


「もうあなたから学ぶべきことはなさそうですわね……。わたくし羽ばたきますわ!」


「ふっ、ふざけるんじゃないよ! 中天ちゅうてん! 見てるんだろ!?」


 わたくしが師匠からの卒業のために、師匠の翼をもぎとろうとしたところ、師匠は仲間を呼びました! そいつもついでにわたくしの戦闘技術向上のかてとなるがいいですわ! 伏兵が居るのでしたら、わたくしのした根回しも取り越し苦労ではなかったのかもしれません。


 なんとかわたくしから距離を取ろうと逃げ回りますが、神通を改造したMA如きがグローシアから逃れられるはずもありません。


「くっ! ついて来るな!!」


 しかし、まわりこまれてしまいましたわね!


 わたくしの攻撃を防ぎながらなんとかして距離を取って逃げようとする紫后。この戦いの中で成長したわたくしにはわかるのですが、紫后は背後にある丘からわたくしへの《《射線》》を通そうとしていますわね?


「後ろの丘にその中年さんが居ますの?」


「なっ!?」


 距離がありすぎてわたくしの感応器官でもわかりませんが、おそらく中年さんの乗った、狙撃をするような遠距離型の機体があの丘にいるのでしょう。チアリーディング部の方って皆様格闘家のような方かと思っておりましたが、遠距離戦をする方もいらっしゃいますのね。


『未夢未夢未夢未夢! 聞こえてますの~!?』


『……うるさい。起こさないで』


『寝てましたの!? 仕事の時間ですわよ!』


 根回しという名の掩護機(未夢)を連れて来て正解でしたわね。根回しと言いいましてもわたくしがここの処理に出掛けると翠蘭に報告したところ、未夢が蟹砲(クラブ・カノン)に続く新たな武器の試し打ちをしたい、ということで着いて来ていたのですが……。


 未夢って原作だと衣装変更キャラでしたわよね? 最近自由すぎませんこと?


『まぁいいですわ。未夢! わたくしが今から撃たれますから、ちゃんと見ておいてくださいね!』


『……ちょっと待って。撃たれるの? なんで? え? ほんとになんで?』


 寝起きの未夢との通信を終えると、わたくしは紫后の機体の左の側頭部に蹴りを叩き込みます。はしたないのであまりハイキックというものをしたことがなかったのですが、これって気持ちいいですわね! MAだとスカートの中も見えませんし、わたくしこれからどんどん蹴っていこうと思いますわ。 あ、そういえば通信の時は外部スピーカーは切ってますわよ。


「師を越えてしまいましたわ~~~~!!」


 頭部と肩をまとめて蹴り壊された紫后のMAが後ろに倒れると同時に、わたくしに向かって砲弾が飛来して来るのがわかりました。予想通りに後ろの丘から発射されたようです。わたくしからは発射地点は見えませんでしたが。


 グローシアはまだ右足が上がった状態でしたが問題ありません。人間の体でしたら隙が生じるのかもしませんが、MAは足を上げたままでも移動できます。スラスターを吹かせば! ふわっとくるっと回避です! そのまま倒れた紫后の上に着地ですわ~~~!


「よいしょっ!」


「ぎゃあっ」


 回避した砲弾が地面に着弾し、爆炎が上がりました。実体弾って環境に悪いんじゃありません? ゴミを撒くのは感心しませんわねぇ……。


『未夢!』


『……見えたよ』


 未夢のエフカリストから発射された、はちゃめちゃに太いエネルギーの投射体がわたくしの後ろを通過しました。それは狙撃してきたMAの居るであろう場所に着弾します。


 わあ! これってゲロビってやつですわよね!? ゲームで見たことありますわ!!!


 地響きとともに丘から凄まじい土煙が上がります。あー……っちゃいました?


『……なにこれ、燃費悪すぎ。もう動けないんだけど』


『大丈夫です? 当たりましたの?』


『……当たったけど無理。あとは頑張って……おえっ』


 ぷつりと通信が切れてしまいました。聞いた話では魔力切れってとっても気分が悪くなるらしいですからね。わたくしは魔力切れになったことないのでわかりませんけど……オホホ!


「それで紫后さんはどうします? ここで死んで頂いても結構ですし、あなたのボスを連れて来てくださっても構いませんわよ。わたくし、あなたたちの技術にはちょっとだけ興味がありますの」


 わたくしの問いかけに答えずに、紫后は狂ったようにられてしまった中年に声をかけています。


「中天!! おい! 中天!?」


『きっ、聞こえている……』


「ああ、よかった! 本当によかった……」


『お前を遺して俺が逝くわけないだろうが……』


 あら、生きてましたの? なんだかよくわかりませんがイチャつき始めたので、紫后の左腕を蹴って切り飛ばしてお話の続きをしたいと思います。


「感動のシーンをお邪魔して申し訳ないのですけど、二人であの世へ旅立つか、あなたのボスを連れて来て詫びを入れさせるか選んでくださいます? わたくしのオススメはあの世へ旅立ちなのですけど……。その方が事後処理が楽で助かりますもの。どちらにしても報復に来てくださるんでしょう?」


 はい、そうです。今日もわたくしはとっても慈悲深いのです。

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