第59話 侵入者
未夢が防衛ラインの守護神と化したあの日から、敵は散発的に偵察来る程度になってしまいました。完全にびびってますわね。
まぁMAの射程が圧倒的に違いますし、例え近づけたとしても機体性能も違いますものね。これからウィングリーはどうするのでしょうか? わたくしたちとしては時間を稼げると大変ありがたいのですけど……。
潜入した者からの情報によると、敵は楽勝ムードだったのが緒戦で出鼻をくじかれて意見が対立。侵攻派と防衛派に分かれて終わらぬ評定を繰り返しているようです。いい気味ですわ。
そして数日後、ウィングリー王国軍の方針が決まったとの報せがもたらされました。防衛ライン前の本陣は防御を固め、少数精鋭で他のルートからの侵攻を狙うことにした、とのことでした。
スコア厨となってしまった未夢には悪いですが、わたくしの出番のようですわね! 僻地戦はお任せあれですわ!
現在の状況を説明致しますと、まず我らがエクソシア領の大きさは東西200キロメートル、南北150キロメートルです。大体一回り小さい四国くらいでしょうか?
そしてそのほぼ中心に本拠地こと、エクソシア領の領都があります。もちろん他にいくつも町はありますが、大きめの農村レベルですわね。
そして北側には山脈が連なっており、ハロウェル領やその他貴族領とは少し交通の便がよろしくありません。数本の道は通されておりますが、一番大きな平坦な道は現在防衛ラインで抑えてあります。
すると敵が侵攻してくるルートは限られてきます。以前も少しお話しましたが、1つ目はハロウェル領ルート。これは2000メートル級の山越えをしないといけないルートですから大軍では厳しいでしょう。
2つ目はリュドヴィック共和国経由で攻めてくるルート。これは今のところなさそうですわね。そもそもリュドヴィックとウィングリーは、あまり仲がよろしくないですからね……。
リュドヴィックはこの戦いも一時的な内戦だと思っているようですし、今のところ介入してくる様子はありません。ここ最近はエメラルドアイ関連の研究も凍結しているようですし、なかなか見所がありますわね?
そして最後はウィングリー寮を経由してスポットから攻めてくるルートです。正直なところ、これが一番キツいですわね……。スポットからエクソシア領都の間にある防衛施設はスポットの防壁しかありません。それに南北100キロメートルを数十機のMAで防衛するのは無理がありますわよね……。
いっそあの防壁の中を通っている線路を爆破してやりましょうか? エクソシア事変ですわね! ……あれ? その場合ですと、エクソシア公国が傀儡国家にされてしまいますわね?
……でもウィングリーが実際に他国からマギコークスを輸入し始めたなら、線路の爆破も視野に入ってきちゃいますわね、これ。
そんな風に情勢が変化していく中でも、わたくしは日々平穏に基地爆破を続けていました。
ところが平和に暮らしていたわたくしたちの元へ驚くべき報せが届きました。リュドヴィック共和国からMAが侵入してきたというのです! わたくしたちはただ幸せに暮らしていただけですのに! ……これ前もやりましたわね?
すぐにエクソシア公国としてリュドヴィック共和国に抗議しましたが、門前払いされたそうです。……覚えてやがれですわよ!!!
侵入してきたMAは、リュドヴィック国境付近にあるエクソシア公国の監視所を2箇所破壊しました。しかしそのMAはそれ以上進んで来ず、3箇所目の監視所を占拠しているとの報告があがってきています。
そしてそのMAはベースすらわからなくなったカスタム機で、やたらと派手な装飾がゴテゴテとついている、と報告書には書かれていました。
あー……これチアリーディング部の方たちですわね……。




