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第58話 撃破数

 衝撃的な報告が翠蘭からもたらされた翌日。わたくしは防衛ライン上にある山、その麓にある格納庫にやってきていました。格納庫といっても屋根があって、整備用のクレーンや機械が並んでいるくらいですから、野営地と言った方が正しいのかもしれません。


「お嬢様……いや、ご当主様。急に来んでくださいよ。びっくりするでしょう」


 グローシアから降りたわたくしの元に小走りでジェイムス隊長がやってきました。今は総隊長になったんでしたっけ?


「ジェイムス隊長もすっかり山賊が板についてきましたわね。エフカリストはどこですの?」


「山賊……? ああ、こっちです」


 首をかしげているジェイムス隊長の後をついて歩いていきます。どこか野営地の空気は浮ついていました。というか宴会していますわね、これ。


「大丈夫ですの?」


「3交代でやってますから大丈夫です」


「それならいいんですけど……」


 すぐにエフカリストが見えてきました。エフカリストの前でも宴会が開かれており、その後ろでエフカリトは膝をつくように駐機されていました。


 エフカリストの肩と両脇にはどこかで見たキチン質の砲身を計4本備えています。結構そのまんま脚が生えている感じなんですわね……?


「未夢! シャノンも居ますの?」


「ヴィア!」


 わたくしに気付いたシャノンは立ち上がると、こちらに手をふりふりと振ってくれました。隣に座っていた未夢は不機嫌そうな様子を隠そうともせず、わたくしと目を合わせてくれません。


「じゃあ俺はこれで失礼しますぜ」


「ああ、ジェイムス隊長、ありがとうございます。何か必要なものがあれば言ってくださいね」


「ハハハ! 何かあれば翠蘭主任に言いますよ。それじゃ!」


「……そのうち役職を族長にしてやりますからね!」


 仕事に戻っていくジェイムス隊長の背中に呪詛を投げつけながら、わたくしは未夢とシャノンの間にあった椅子に座りました。椅子というか丸太ですけど……。


「これはご当主様! それでは私達は失礼致します!」


 わたくしが座ると他のパイロットたちグラスを片手に席を立ってしまいました。もしかしてわたくし空気を読めない上司みたいになってしまってます!? 大変不本意ですわ!


「ちょっ! ちょっとあなたたち! 別に居てもいいんですのよ?」


「交代の時間ですのでお構いなく!」


 そそくさと去っていくパイロットたちを見送ることしかできませんでした。ああ、わたくしは無力ですわ……。


「こほん。それはともかく、二人とも大活躍だったみたいですわね?」


「うふふ。私は何もしていないです」


「……何もしてないのに10機も落とせるはずない」


 未夢はがぶりとソーセージにかじりつきながらシャノンにそう吐き捨てると、ギロリとわたくしを睨みました。……何を怒っているのでしょうか? わたくし本気で心当たりがないんですけど……。


「わたくし何かやっちゃいました? いえ、冗談ではなくて」


「……した」


 やはりわたくしが何かしてしまったようです。どちらかというと、わたくしに断りなくエフカリストを乗り回している未夢が怒られる側なのでは……?


「未夢ちゃんは悔しかったんですよね」


 その言葉を聞いた未夢の顔がさらに険しく……いえ、頬が膨らみました。


「悔しい? 何がですの?」


「……160以上って何よ。おかしいじゃない」


「そんなこと言われてもわたくしの身長は以前から167センチですわよ?」


「……違う!」


「うふふ。撃破数だそうですよ」


「ああ~……」


 なるほど。確かにわたくしもグローシアで倒したMAの数を聞かれたりしてましたわね。帰還するたびに整備士の女の子に聞かれるものですから、わたくしオタクがわたくしデータを取っているのかと思っていましたわ。てっきりわたくしは彼女のことをデータキャラか何かだと思っておりましたのに……。


「まぁいいですわ。それで何機撃破しましたの?」


「……62」


「嘘でしょう!? 1日でですわよね?」


「だから言ったじゃないですか。ヴィアも驚くって」


「……ふんっ」


「あの、わたくし1日で20もいかないんですけど……?」


「ヴィアは1機で乗り込んでるのに、それはそれでおかしいからね?」


 それから未夢に新型エネルギー砲「クラブ・カノン」の素晴らしさをとくとくと語られてしまいました。カニの殻のトゲトゲが残ったままなところと、連射していると真っ赤に赤熱するカニの脚砲身が素敵ポイントなんだそうですわよ。専門的すぎてわたくしにはよくわかりませんでしたけど……。


「それでなんでエフカリストに乗ってますの?」


「……だめだった?」


「いえ、別に構いませんわ。ほら、エフカリストは出るでしょう? 大丈夫でしたの?」


 エフカリストも怨霊が出るタイプの事故物件系MAですからね。血塗れではないですけれど、虚ろな目をした少女がぬるっと出てくるのでびっくりすると思ったのですけど……。


「……大丈夫。仲良くやってる」


「そ、そうですか……」


 今後エフカリストは未夢が使うことになったようです。……というかMAを操縦できましたのね!?

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