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第50話 アラフニス

『隊長! 駄目です! 突破されます!』


『持ちこたえろ! なんだって味方を攻撃してやがるんだハロウェルのやつらは!?』


 そして我が家の騎士団は、混乱の極致にあったようです。うちの騎士団のMAは、それはもう見事に蹴散らされていました。うちの騎士団はミューβばかりで、あまり精強とは言えませんからね……。


 対する敵は6本の脚を持つ、まるで蜘蛛のような巨大なMAです。原作では中盤辺りに出てくる機体だったような気が致します。


 わたくしが色々と世界の流れと言いますか、そういったものをぐっちゃぐちゃにしてしまったせいで、色々とおかしなことになっている気が致します。……いえ、きっと気のせいでしょう。


『ただいま戻りましたわよ、ジェイムス隊長』


『姫様!? 今はまずいぞ!』


『そういえばジェイムス隊長はなかなか山賊に適正がありそうですわよね? とりあえずジェイムス隊長は、非戦闘員の避難を優先しなさい。あれはわたくし自らが出ますわ!』


『ひ、姫様……!』


 なんだかジェイムス隊長が感動しているようですけれど、この襲撃の原因は十中八九、わたくしが原因なことは黙っておきましょう。オホホ……。


『シャノン、掩護をお願い致しますわね。エクソシア騎士団各員は、見慣れぬ白い機体に攻撃しないように注意しなさい。わたくしのお友達に怪我でもさせたら、減俸どころじゃ済みませんわよ!』


『お、おともだち……』


『わたくしが気を引きますから、背中にエネルギー砲をぶち込んであげてくださいまし』


 それだけ伝えると、わたくしは最大加速で敵の蜘蛛型MAに突っ込みます。


 名前は……「アラフニス」でしたっけ? 複座式の大型MAです。4~5人で操縦している関係で、ゲームではNPC専用の機体でした。懐かしいですわね……。


 「アラフニス」の体高は、一般的なMAと比べて1.5倍ほど大きく、幅は約3倍大きいです。蜘蛛型の下半身部分とそこから生える人型上半身部分で操縦系統が別れています。原作では複数のパイロットが各自操縦しているためか、攻撃頻度が高いのが特徴の機体でした。


「どっせいですわ!」


 ゴイーン! と鐘を撞いたような音を立てて、グローシアの拳が弾かれてしまいました。このアラフニスは、ゲームでは物理攻撃に耐性があるバリアフィールドを所持していました。それが現実に反映されると、このようになるのですわね。なんだか感心してしまいましたわ。


 よくRPGで中盤に差し掛かると、現れる敵が妙に硬くなってきて、なんだか戦闘が面倒になってきません? 「アラフニス」はそんな時期に現れるタイプの敵です。


「やはり私は間違っていなかった! グローシアが動いている!! 色を変えたくらいでは私の目はあざむけんぞ!!」


 こ、このどう考えても眼鏡から出ている声! いつぞや殴りまくったり、パーツをもぎまくったりした、あのハロウェル侯爵家の次男じゃありませんこと!? 生きていましたの!? ……まぁ、殺してはいませんでしたから、生きているのは知ってましたけど。


「あら、ごきげんよう、眼鏡の方。いつぞやの『ダン・コーマ』のパーツありがとうございました。あまり役には立ちませんでしたけれど、一応感謝申し上げておきますわね」


「きっ……きっ……貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 アラフニスは、人型の上半身の腕に備え付けられたエネルギー砲を乱射してきます。六本脚を不規則に左右に動きながら前進してくる姿は、どこか虫のようで気持ちが悪いです。しかも人型の上半身をよく見れば、腕が4本なのも気持ち悪さを増幅させています。脚と合わせて10本脚ということですの!?


 それにしても久しぶりのグローシアでの戦闘ですわね! わたくしはただただ感謝しながら拳を叩き込むのみですわ!


「オラァッ! ですわ!」


 アラフニスの脚を殴ってみても、エネルギーフィールドが現れ、ゴインゴインと鳴るだけで、ダメージを与えられているようには見えません。手応えもあまりよくありませんし……。やはり素手の限界なのでしょうか?


 わたくしに一方向だけ不敗のお師匠様が居たり、ナックルダスターやガントレットみたいな格好いい武装があれば、なんんとかなりましたのに……。と言いますか、こういう時に限って持ってきていないチェーンソーの存在意義とは一体なんですの……?


 下半身にダメージが与えられないのならばと、上半身を狙うべく飛び上がったわたくしに、4本の腕と下半身にも設置されている武装たちから大量の砲火が放たれます。ミサイルやガトリングの弾を避けながら殴り返してみるも、やはりダメージは与えられているように見えませんでした。


 それにしても蜂の巣をつついたような反撃の量です。やはり機体が大きいと、たくさん武装が積めてお得ですわね。


「カラネアにくみする大罪人どもめ! 第1王子殿下の無念、ここで晴らさせてもらうぞ!!!」


 本当にスポットの悪魔って悪いやつですわね! それは兎も角、わたくしは回避しながら、アラフニスの向きを調整します。ほーら、こっちですわよ~! よーし、いい子ですわ!


 ちょうどそのタイミングを見計らったように、アラフニスの背後に閃光が走りました。わたくしはそっと巻き込まれないように射線から外れ、距離を取ります。


「ぐわあああっ!? 被害状況を報せろ!!」


 まぁ! 閃光とともに上半身が消えてしまいましたわ。ヘーメラーって悪いやつですわね! あのエネルギー砲をなんとか量産できないでしょうか?


「弱点のあるタイプの敵で助かりましたわね!」


 ふらふらと傾くアラフニスを見ながら、わたくしは目の前の機体について思案致します。


 アラフニスはコクピットが上半身にあるのでしょうか? それとも下半身にあるのでしょうか? 興味深いですわね。……持って帰ったら翠蘭が喜ぶかもしれませんわね!

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