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第45話 優勝するわたくし

 皆様、ごきげんよう。本日は皐月学園MA(マギアスピーダ)闘技大会の決勝戦です。


 わたくしは残念ながら怪我をして不戦敗致しましたので、観戦致しております。怪我につきましては、わたくしの美しいお腹に青アザが2つもできてしまいましたことをご報告してさせて頂きますわ。


 ただ本日観戦する場所は、エフカリストのコクピットです。もっと言いますと場所は大会会場から5キロメートルほど離れた林の中です。わたくしのエフカリストが木々をなぎ倒して仰向けに寝ております。


『こちら夜月商会整備部、入場ゲートを通過。依頼品を格納庫に運搬中。オーバー』


『本当に大丈夫なんですの?』


『お前が考えた作戦なんだろうが……』


『そうですけど……』


 わたくしの独り言に、翠蘭からの突っ込みが入ってしまいました。翠蘭《《たち》》はさらに5キロメートル後方で待機しています。一応レーダーに映ったりしないように気を遣って準備をしております。


『3……2……1……開始してください』


 決勝戦開始アナウンスが、エフカリストのマイクを通して聞こえて参りました。決勝戦は、主人公VS第3王子です。会場には各国首脳も揃っているようで、警備も物々しいですわね。


 第3王子が乗っている「ミューα」なのですけど、明らかに他の機体より動きがいいのですけど、何か細工されてるのではないでしょうか? 外見だけ「ミューα」で、中身は王家特注の別のMA……なんてことになっているのかもしれません。


 しかもあちこちに、主人公が乗るスキアの破壊工作依頼まで出していたらしいですわよ。夜月商会の整備士ならフォトゥネス寮の格納庫に出入りできますから、破壊工作も可能なのでしょうけれど……。


 スキアは整備の一部がブラックボックス化されており、重要な部分は夜月商会の整備士しか整備できないようになっています。そのため整備士をフォトゥネス寮の格納庫に派遣もしてたのです。わたくしの知らない間にも皆さんお仕事してるんですわね……。


『こちら夜月商会整備部、格納庫にて《《新入り》》の準備が完了した。お客様からの連絡を待つ。オーバー』


 フォトゥネス寮の格納庫に潜入した夜月商会うちのトレーラーの準備ができたようです。工作依頼は受けていませんけれど、破壊工作をしないとは言っていませんわよね?


『それではワタクシ(ワン)も作戦開始といきますか!』


『そんなコールサインないぞ』


『今できましたわよ!』


 エフカリストを起き上がらせると、いざ決勝戦のバトルフィールドに向けて全速力で進みます。久しぶりの出番となるボイスチェンジャーもスイッチオンですわ!


「行くぞおおぉぉ!!!」


 荒野の砂塵を巻き上げながら突撃していると、その途中で大音量のサイレンが鳴り始めました。爆音すぎますわよ!? そのウーウー鳴らすのをやめなさい!


『こいつはあの時の!!』


『なんだこいつは!?』


 わたくしが接近して行くと、戦っていた2機がこちらに向き直りました。サイレンが鳴り響く中、わたくしは肩のショットガンを連射。左手でエネルギーブレードを握ると、第3王子の乗るミューαの右腕を斬り飛ばします。盾を持っている左手だけが残ったミューαは盾で殴りかかってきますが、回避してから蹴り飛ばしておきます。……折角ですから追加で3回くらい蹴っておきましょう!


「おらおらおらぁっ!」


『やめろォ! ぐっ!? やめっ! があっ!?』


 なんだか胸がすっとしますわね! ついでに首もはねておいて差し上げますわ!


『どうすればいいんだよ! 試合はどうなるんだよ!?』


 アサルトライフルをわたくしに発砲し続ける主人公が鬱陶しいですわね。ミューαが逃げないように足を破壊してから、一息でスキアに肉薄します。


「邪魔だぞ、スキア!」


『速っ!? 間に合わないッ!!』


 とにかく急がねばなりません。わたくしは速やかに主人公のスキアの首を跳ね飛ばし、リロードの済んだショットガンを斉射。四肢を破壊します。


 これにてわたくしの優勝ですわ~~~~~! 観客席に向かって煽……アピールしようかと思いましたが、いけません。わたくしには目的がありました。


 倒れていたミューαの元に戻ると、まだ第3王子は脱出していなかったようです。間に合いましたわね。


「ほら、いくぞ。第3王子! 俺の役に立ってくれよなァ!」


『不敬だぞ! やめろ!』


「フケイ……?」


 あの戦乱が起こる前に現れるという伝説の人面鳥のことでしょうか? きっと今から戦乱が起こるでしょうから、ちょうどいいですわね!


「離せ! 賊め!」


「うるせぇなァ……」


 コックピットブロックだけを持ち歩いてましたけど、スピーカーを全開にして喚き散らす第3王子がうるさいので、バーテンダーのようにコクピットブロックをシェイクしておきます。


「ぎゃああああああああっ!?」


「俺は別にお前が死んでても構わないんだ。静かにしてろ」


 物理的に静かになったミューαのコクピットブロックを抱えながら、わたくしは観客席に向かって、エフカリストを跳躍させました。

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