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第44話 撃たれるわたくし

 ごきげんよう、皆様。本日は決勝戦1日目ですわ。


 本日のわたくしの対戦相手は、主人公ことアインです。スキアVSスキアですが、わたくしの実力を見せつけてサクっと片付けてやりますわ~~~!!!


 未夢特製のパイロットスーツに着替えてから、格納庫の隅に設置されたテーブルでお茶を嗜んでいると、格納庫の入り口にファンガール1号こと、桜照皇国寮の松浦まつうら 静子しずこが現れました。


 基本的に他寮の格納庫に入ることは推奨されていませんので、大人しく入り口で待っているのでしょう。中を覗いてわたくしを見つけると、わたくしの名前を呼びながら手を振っています。何か用でしょうか?


「松浦嬢、ごきげんよう。どうされました?」


「おはようございます、ヴィアリス様! 決勝戦進出おめでとうございます! わたくしたち『ヴィアリス=エクソシア様を応援する会』一同応援しております!」


「あ、ありがとうございます……」


 そんな名前でしたの? ファンガールの集いって……。


「ちょうどよかったですわ。松浦嬢にお願いしたいことがあったのです。少し頼みにくいことなんですけど……」


「私にできることでしたら、なんなりと仰ってください!」


 いつもと変わらぬ笑顔を向ける松浦嬢にわたくしは話を切り出します。


「二条綾子様のことなのですが、彼女に何かあった時にエクソシア家に連絡をくださいませんか? 彼女があなたと対立する派閥の家なのは重々承知しておりますが、あなたしか頼る人が居なくて……」


「二条様ですか? 親しくありませんので私がお役に立てるかどうか……」


「あなたしか頼れる方がおりませんの!」


 ぎゅっと松浦嬢を抱きしめて色仕掛けしておきます。ほーら、無駄に薄くてぴっちりしているパイロットスーツですわよ~?


「お願いしますわ!」


「わ、わかりました……。できる範囲でご協力させて頂きます」


「ありがとうございます。こちら連絡先ですわ。間違っていても文句を言ったりはしませんから、お気軽にお願い致しますわね」


 近いうちに松浦嬢に渡そうと準備してありましたわたくしの連絡先が書かれた名刺を、松浦嬢の手に握らせます。わたくしが学園に通える残り時間もあとわずかでしょうし、二条綾子のイベントが始まった時にそれを知る術がないかもしれません。念のため松浦嬢に手伝って頂きましょう。


 昨晩、父と夜遅くまでお話をしていましたので、この日のわたくしは少し気が抜けておりました。松浦嬢のつむじを嗅ぐことに気を取られていたわけではありませんわよ!?


 突如格納庫の入り口の物陰から《《赤いオーラ》》の人影が現れました。その人影は右腕をわたくしにかざします。その手には黒い鉄の……いえ、銃が握られていました。


「松浦嬢!」


 わたくしは胸に抱いていた松浦嬢を咄嗟に突き飛ばしました。


──パンッ! パンッ!


 暴漢の持った銃から乾いた音が鳴り、2発の銃弾が発射されました。それは吸い込まれるように、わたくしの腹部に命中し、赤い液体が辺りに飛び散ります。


「キャアアアア!!」


「あつっ! これいってぇ~……ですわぁ……」


 松浦嬢の悲鳴を聞きながら、感応器官を通じて、悲鳴を聞きつけた整備士たちが、こちらに向かって走って来ているのがわかりました。


「や、やったぞ!」


 マスクの男が逃げていくのを眺めながら、わたくしはぺたりと座り込みます。思ったより痛いんですけど!!!


「ち、血が! 血が!」


「ああ、大丈夫ですわよ」


 いまだお腹からはドクドクと赤い液体が垂れていますが、ガラガラと運ばれてきたストレッチャーの上に自力でのぼると、わたくしは松浦嬢に言伝を頼みます。


「え!? エクソシア様、大丈夫なんですか!?」


「本当に大丈夫ですから。あ、いえ、やっぱり大丈夫じゃありませんでしたわ。ヴィアリス=エクソシアは撃たれて搬送されたので、闘技大会を棄権するとお伝え頂けますか?」


「わ、わかりました。あれ? 私が伝えてもいいものなんでしょうか? え? 血は? 撃たれましたよね?」


「ボス! ボスじゃなかった、お嬢様! 行きますよ」


 整備士たちにストレッチャーを押されながら、わたくしは混乱の極致にある松浦嬢にお別れの挨拶を致します。


「このお詫びは必ず致しますからね。ごきげんよう!」


 遠ざかる松浦嬢も手を振り返してくれました。PTSDにならないといいんですけど……。


 大型トレーラーの後部コンテナに載せられたわたくしの元に、この血塗れのパイロットスーツの製作者がやってきました。


「……昨日の今日で撃たれることある?」


「胸のペンダントが……守ってくれたのですわ……」


「……そんなものつけてないでしょ。っていうか撃たれたのお腹じゃん」


「おかげで命は助かりましたけど、マジで痛かったですわよ!? 次は撃たれても痛くない防弾スーツにしてくださいましね!」


「……まぁそれだけ騒げるなら大丈夫か。あ、汚れるから近寄らないで」


「あの、それでこの血糊ちのりはいつ止まりますの?」


「……そのうち止まる」


「そのうちっていつですの!?」


 お腹から血糊を垂れ流しながらも、わたくしはなんとか暗殺イベントを乗り切れたようです。


 ちなみに頭は絶対撃たれませんから大丈夫ですわよ。脳にある感応器官がないと、ピュアマギコークスクリスタルにできませんからね! ……本当に撃たれなくてよかったですわね……。


 原作カルヴォノ・マギストリアでは、色んなシチュエーションで暗殺されることで有名なヴィアリスことわたくしですが、今回は闘技大会の決勝に進出すると撃たれるパターンでしたわね。結局原作でも誰の差し金かは判明しないままなのですけれど、まぁウィングリー王家でしょうね……。


 防弾パイロットスーツが間に合って本当によかったです。クッッッソ痛かったのでこの恨みは必ずそそぎますわ。絶対にです!


 ちなみに原作では、このあと緊急搬送されたと見せかけて、エメラルドアイ研究施設に送られるんですから世の中って恐ろしいですわよね……。


「ボス、コンテナの床を汚さんでくださいよ」


「わたくしに言わないでくださいます!?!?!?」

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