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第43話 暗躍するわたくし

 作戦の説明が終わると、シャノンは難色を示していました。


「もっと穏便な方法はないんですか? 翠蘭さんも止めてください!」


 あれ? シャノンがわたくしを頼ってくれなくなってしまったんですけど!?


「他に良い手があるなら、それに越したことはないんだがな……。ヴィアリスなら止めてもやるだろ?」


「もちろんですわ。ここでシャノンが反対しても、わたくしはやりますわよ。あなたは寮かここで大人しく自らを慰めているといいですわ!」


「そんなことしません!!!」


「それに聖女様は知らないだろうが、私もエメラルドアイでね。私はヴィアリスに賛成だ」


「そ、そんな……」


 唯一の味方に裏切られたかのような顔をしたシャノンはがくりと俯くと、首を横に振ります。


「私は本当に無力です……。何もできません……」


「無力を嘆いているだけでは無力なままですわよ、シャノン。まぁわたくしは何もできなくてもシャノンを愛してあげますけどね!」


「あいす……?」


 怪訝な顔でこちらを見る翠蘭。わたくし何かおかしなことを言っちゃいました?


「ん? ん?」


 翠蘭はわたくしとシャノンの顔を見比べます。えへへと照れ笑いしたシャノンの顔を見た翠蘭は、険しい顔でわたくしの顔を見ると、眉を寄せたジト目で呟きました。


「お前はちょっと外に出てろ。私は聖女様と話がある」


「はい?」


 普段見せない素早さでわたくしをオフィスから追い出すと、ドアに鍵がかけられてしまいました。


 だ、大丈夫でしょうか……?


 オフィスの中を感応器官を使って覗いてみましょうか? でもなんだか嫌な予感がします。怖いもの見たくなさってやつですわね……?


 ドアの前で見るべきか見ないべきかを悩んでいると、そんな哀れなわたくしに、心ない言葉を投げかける人物が現れました。


「……オフィスの前で何してるの邪魔よ」


「未夢、ちょうどいいところに! 助けてくださいまし!」


「……なんか新しい女連れて来たって噂になってたけど、修羅場ってるの? 刺されないでね」


「今回ばかりは流石のわたくしもやべーかもしれないですわね……」


 いつ翠蘭とシャノンが結託して、わたくしを樽に詰め込んだあと、カトラスを刺し始めるやもしれません。


「……やっぱり危機一髪ですわ!?」


「……頭は大丈夫? 暇ならこの前頼まれてたやつ試着してよ」


 未夢に腕を引かれ、わたくしは未夢の作業部屋に連行されてしまいました。そこで新しいパイロットスーツを試着させられていると、満面の笑みを浮かべた翠蘭とシャノンがその部屋にやってきました。


「ひえっ……」


「ヴィア、大丈夫ですよ。私は翠蘭さんとお友達になりましたから」


「ヴィアリス、大丈夫だぞ。シャノンと私はすっかり仲良くなったからな」


 二人とも目が笑っていません。ニッコリと細められた目からはうっすらと黒目が覗いています。本当にまったく目が笑っていませんわよ!!!


「びありす、みんながなかよしだとうれしいな!」


「……流石に年齢的にその手は無理でしょ」


「そうですよ、ヴィア。こんな卑猥なパイロットスーツを着た幼子おさなごがいるわけありません」


「シャノンが何もしてないのに壊れましたわ!?!?」


 わたくしの抜群グンバツのプロポーションが裏目に出てしまうとは……!?


「これからシャノンはうちで働いてもらうことになった。未夢もよろしく頼むぞ」


 わたくしが居ない間に、シャノンは夜月イーリンに採用されてしまったようです。ということは決勝戦は楽しいことになりそうですわね?



◇────────────────◇



 あれから作戦会議をしてから自宅の格納庫にグローシアを駐機する、慌てた様子で整備士の方が駆け寄って来ました。その方が言うには、こんな時間にも関わらず、父がわたくしのことを探していると言うのです。


 すぐに父の元へ向かうと、父は書斎のソファーにうなだれるように座っていました。かなりお疲れの様子ですわね……。


「どうしてだい? ヴィア……。どうしてこんなことを……」


「……どのお話でしょうか?」


 心労をおかけして大変申し訳ないんですけど、わたくし心当たりがありすぎて……。


「……カラネアのことだよ」


「ああ、そのことですか」


「数時間前に手紙が届いてね。ヴィアがカラネアの関係者で、軍警察の捜査の手が迫っていると……」


 関係者というか首謀者ですけども……。


「手紙の内容はそれだけですか? 差出人は?」


「差出人はルイス殿下。ヴィアと結婚させてくれるなら、ヴィアのことを守ると……」


「ああ、そのことなら先日お断りしたところですわ」


 というか、そもそも守れるのでしょうか? わたくしはまったく信用していませんし、あの王家と関わりましても、生体パーツエンド一直線な気が致しますわ。


「やはりそうか……」


「お父様はどうされるんでしょうか? わたくしを王家に差し出しますか?」


 わたくしの問いに無言でうなだれる父。流石に申し訳ない気がしてきました。親不孝な娘であることは自覚しておりましたが……。


「わたくしから言えることは、第3王子とは絶対に、死んでも結婚致しませんわ。そこでわたくしもお父様も、お互いが幸せになれる選択肢があるのですが、お聞きになりますか?」

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