第41話 告白
なんだか疲れてしまいましたわ……。まぁお寿司をいつでも食べられるようになったということで、ヨシと致しましょう。
疲れておりますのに、帰宅したあとシャノンと少し重いお話をしないといけません。なんだかんだでわたくしはシャノンを騙したままですからね……。沈んだ気持ちのままウィングリー寮の自室の扉を開けると、2つの人影が目に飛び込んできました。
「お嬢様、おかえりなさいませ」
「おかえりなさいませ……」
そこにはメイド姿の二人が……。いえ、サラは普段からメイドですけど。わたくし、今から真面目な話をするつもりなのですけど……!?
「ただいま戻りました。あの、二人は何をしているのかしら?」
はちゃめちゃにドヤ顔をしているサラを見ればわかりますけどね?
「わ、私頑張ります!」
シャノンは少し黙っててもらえるかしら? とりあえず頭を撫でておきますが……。
「シャノン様の、強い! ご希望によりこちらを着用して頂いております」
「な、なるほど……」
……本人の強い希望なら仕方ありませんわね?
「うちでメイドをすることに致しましたの?」
「その……まだ決めたわけではないのですが、何もしないというのも落ち着かなくて……。私に今できることをやっていこうかと思ったのです!」
意思のこもった瞳で気炎を吐くシャノン。可愛いですわ……。今すぐにでも押し倒してやりたい気持ちを抑えながら、わたくしはシャノンの手を取ります。物事には順序ってものがありますからね!
「シャノン、あなたに見せたいものがあるの。少しお散歩に付き合ってくださる?」
◇────────────────◇
グローシアのコクピットに座ったわたくしの膝の上には、メイド服のシャノンが乗っています。
「凄まじい加速ですね……」
ぎゅっと抱き着いてくるシャノンの柔らかさを感じながら、わたくしはグローシアをできるだけ優しく飛ばします。別に殺人的な加速はしていないのですが、聖女専用機だったヘーメラーは砲撃機ですから、あまり急な加速はしないのでしょう。
そう言えばヘーメラーはどうなったのでしょうか? 聖女になる条件のうちの1つが、あの機体を操縦できること、だったはずなのですけど。
緑髪の女は操縦できないから聖女になれなかったはずです。原作だと追放されたあとは主人公の機体になるんでしたっけ? わたくし、シャノンが抜けてしまったフォトゥネス教国に興味がありませんのでよく覚えていませんわ……。
「どこに行くんですか?」
「わたくしの秘密基地ですわ。……もしそれを見て、わたくしのことが嫌いになったとしてもシャノンのことは責任を取りますからね。安心してください」
「せ、責任!?」
素っ頓狂な声をあげるシャノンをそのままに、わたくしは岩壁に隠された入り口から格納庫に入ります。
「ここは?」
「ここが夜月商会ですわ」
そのまま格納庫を進むと、グローシアのコクピットのモニターに駐機されているエフカリストが映されました。
「えぇっ!! 嘘っ!? この機体は……」
「ごめんなさい、シャノン。あの時、あなたのヘーメラーを襲ったのはわたくしなのです」
「ああ……」
シャノンはどこか腑に落ちたような声を上げました。わたくしはこのことを打ち明けると、きっとシャノンは驚くか怒るかすると思っていたのですが、シャノンが浮かべていた表情は「納得した」と言わんばかりの表情でした。
「そうだったんですね……。ヘーメラーを動かせることしか価値のない私を欲しがるなんて、とてもおかしな人だと思っていましたが、あの人はヴィアだったんですね。でも、どうしてあんなことを?」
怒るでもなく拒絶するでもなく、わたくしの膝の上に座ったままわたくしの顔をシャノンはじっと見つめています。無言の圧力を感じながら、わたくしは答えます。
「あなたに嘘は吐きたくありませんから正直に言います。あの護衛君が原因ですわ」
「アインが?」
「はい。わたくしは彼に特別な力があると思っていました。それを確かめるためにフォトゥネス寮軍を攻撃したのです。ヘーメラーを攻撃したのは、一番危険そうな機体だったので先に叩いただけですわ」
「アインは確かに不思議な子でしたが、悪い子ではありませんでしたよ?」
「そうですね。実際彼は悪人ではないのかもしれません」
わたくしにとっては、わたくしの女を奪おうとする敵ですが!!!
「あの時は蹴られて倒れてしまったところを撃たれたのは怖かったです。でもヴィアの機体が持っていた銃が爆発した時が一番怖かったですね……」
わたくしの腕をぎゅっと掴みながらシャノンはその時のことを思い出しているようでした。ピンク頭の砲撃をショットガンを盾にして防いだ時の話ですわね。
ミシェルが駆け付けて来てしまって、わたくしの計画がぐちゃぐちゃになってしまった記憶が蘇ります。……あれ? わたくしの計画ってフォトゥネス寮軍を襲って、聖女を攫うことでしたっけ……? 主人公が転生者かどうかの確認をするはずだったのでは?
「そんなこともありましたわねぇ……。過ぎたことですけど」
「ふふっ……あの爆発の方が怖かったですね。生身でしたから、ぶわって熱風が来て……。ヴィアがこのMAが手で守ってくれたんですよね。乗っていたのがヴィアだったら、なんか納得しちゃいました」
あの時は怒涛の展開だったので、わたくしあまり記憶がないのですけれど、意味深な顔をしながら、うんうんと頷いておきます。
「だったら私はミシェルの恋敵ということになってしまいますね?」
顔を真っ赤にしながらチラチラとこちらを見るシャノン。こ……こ……このあざとい女~~~~~~!!!!
「何なんですの!? 今ここで抱いてやりましょうか!?!?」
『ヴィアリス! 道の真ん中で止まるな! 邪魔だろうが!』
道の真ん中でイチャコラしていたら、無線で翠蘭に怒られてしまいました。わたくしションボリですわ……。




