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第38話 不完全燃焼

 結局シャノンは朝まで起きてきませんでした。わたくしのム……イライラはどこで発散すればよろしいのでしょうか!?!?


 よく創作物で出てくる運命力のようなもので、シャノンのイベントをすべて熟さないとえっちなイベントが発生しないとかないですわよね……!? 頼みますわよ!!


「はぁ……」


「お嬢様、大丈夫ですか?」


 しかも結局わたくしの過去の行いの話もできていませんし、なんだったらわたくしが準備している間も寝ていましたし……。シャノンは朝が弱いようですわね。寝顔が見れたからヴィアリスポイントを30点差し上げますけども。


「サラ、シャノンのことを頼みますわね」


「畏まりました。しかし、どう扱えばよろしいですか?」


「できるだけ彼女の希望を聞いてあげてください。無茶を言うような子ではありませんわ」


「ではそのように致します。お気をつけていってらっしゃいませ」


 サラに見送られながら寮を出ます。今夜が山ですわね……!



◇────────────────◇



 格納庫に着きましたがまったくやる気が出ません。はぁ……やっぱり致しときゃよかったですわ……。「ボスがおかしい」と、整備士たちがヒソヒソと陰口を叩いているのが聞こえますが、反論する気にもなりません。


「……どうしたの? 元気ないの?」


「未夢~~! ちょうどよいところに!!」


 いつも来ない未夢が学園の格納庫に居ました。これは僥倖ですわ!


 そっと未夢を後ろから抱き締めると、そのまま《《つむじ》》に鼻を押し当ててゆっくりと深呼吸します。


「んふぉ~~~~! たまりませんわぁ~~~!!」


「……流石にキモすぎない?」


「未夢ったら照れちゃって!」


「……そういう無駄にポジティブなとこ見習いたい。これ皮肉だからね」


 ツンデレのツン味の未夢をスルーしながらつむじを楽しんでいると、するりと猫のようにわたくしの腕の中から逃げ出されてしまいました。未夢はため息を吐きながら髪を撫でて整えています。


「……今日はいつにも増してキモいわね」


「いつもと変わらず美しいヴィアリスさんですわよ? そういえば以前頼んでいたパイロットスーツってもう完成しています? いよいよ必要かもしれませんわ」


「……本当に必要なの? ヴィアまでそんなに危ないの?」


「転ばぬ先の杖ってやつですわよ。できるだけの備えはしておいた方がいいでしょう? それにわたくしはまだ可愛い女たちをのこして死ぬわけにはいきませんもの。翠蘭なんて絶対泣いちゃいますわよ」


「……翠蘭は泣くだろうけど」


「未夢は泣いてくれませんの?」


「……キモい人が死んでも泣かない」


「ではわたくしが死んだら泣いてくださるのね? さぁ今すぐわたくしのお胸で泣くといいですわ~~~!!!」


 わたくしは制服の胸元に未夢の頭を押し込むと、再びつむじを嗅ぎながら未夢を堪能しました。女の子の頭皮ってどうしてこんなにいい匂いがするのでしょうか? 猫もいい匂いですから、実質女の子は猫なのかもしれません。


「……クソキモい」


 と言いながらも逃げないのですから可愛いですわよね!


「はぁ~~~! 充電できましたわ。それでは準備致しますか」


「……まぁ死なない程度に頑張って」



◇────────────────◇



 いつも通りスキアに乗り、いざ決戦のバトルフィールドへと向かいます。スキアに乗るのって疲れるんですわよねぇ……。やはり動きが硬いからでしょうか?すっかり移動手段(アシ)と化しているグローシアのなめらかな動きが恋しいですわ。


「両者向かい合って並んでください」


 最近よく見る女性の審判に案内され、わたくしのスキアと桜照皇国の量産型MA(マギアスピーダ)神通じんつう」が並びます。


 「神通」は青い光沢がかった装甲を持つMAで、軽量で機動性重視の機体です。今まで見た量産型の中では一番格好がよろしいかもしれませんわね。スキアは艶消しブラックの、どこからどう見ても悪役な機体ですものね……。


 そしてこの「神通」は、ウィングリーで言うところの「ミューα」に近い、近衛や偉い人が乗るタイプのようですわね。


「ごきげんよう、二条様。お久しぶりですわね」


 今日の対戦相手は、桜照皇国のヒロインである二条綾子でした。久しぶりに見ましたけど、この女のパイロットスーツ姿が本当にエロいんですわよね。流石性獣と呼ばれるだけのことはありますわ。


「お久しぶりです、エクソシア様。大変ご活躍されているご様子。皆エクソシア様のことを噂しておりますよ」


 こ、これ知ってますわ……! 遠回しに嫌味を言い合うやつですわよね!? わたくしも前世では少し嗜んでいたことがあります。東京出身者に「君、なんやえらい訛ってんなぁ」と言える毛ぶ……気高き精神までは持てませんでしたが……。


「いえいえ、二条様ほどでは……。流石優勝候補ですわ。快進撃だったと聞き及んでおりますわよ」


「うふふ。私は目の前のことを熟すことだけで精一杯で、快進撃だなんてとてもとても……。それにエクソシア様もお乗りになられているスキアには、それはもう苦戦させられましたよ」


 この女、スキアを倒しているんですわよね。原作でも結構強キャラでしたし、気を付けませんと。


「スキアなんて黒くて艶のない優雅さに欠ける機体ですわ。それに比べて神通はシュッとしてはりますわよね」


「え? しゅっ? ……いえ、私もスキアには大変興味があります。是非一度ゆっくりお話を聞かせて頂けませんか?」


「まぁ! それは是非。でしたら今度お食事でもご一緒にいかがですか? それに……」


「あ、あの……すみませんが、そろそろ試合を始めて頂けますか?」

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