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第34話 騙されて悪いが

「ボ……お嬢様、お疲れ様でした」


 バカの乗ったスキアをスクラップにして、これで晴れてシャノンがわたくしの女に内定致しました。格納庫に帰ると、何やら夜月商会から出動要請がありました。


「緊急でジャングルスカルスネークの素材が必要、と……」


 今日のミッションは、皐月学園とリュドヴィック寮の中間に生息する魔獣の素材の納品です。その辺りは密林になっていて、そこに居るおバカデカい蛇の牙を獲って来て欲しい、とのことでした。


 ジャングルスカルスネークは全長15メートルオーバー、太さ2メートルはある蛇で、体の模様が髑髏のように見えることからその名がつけられたそうです。こういう大きな蛇に襲われるホラー映画ありましたわよね?


「急ぎですの?」


「ええ、早ければ早いほどボーナスが出るみたいですよ。依頼主はよっぽど急ぎみたいですね」


「そんなことあるんですのねぇ……。誰かに壊されたMAの修復に必要なのかしら? オホホ!」


 最近は素材集めも一段落して、やることがありませんでしたからちょうどいいですわね。たまにこういう特殊なミッションがあると、仕事に張り合いが出るってものですわ。


「ではすぐ出ましょう。どうせどこも壊れてませんし」


「了解です、ボス」


「だからお嬢様と呼びなさい!」


 盾に傷がついたくらいですものね。このまま両手に盾でいくことにしましょう!



◇────────────────◇



 現場に到着し、小一時間ほど蛇狩りに勤しんでいたところ、何やらどこかのMAの部隊が辺りをうろつきだしました。


 この時わたくしは、依頼主自らもなんたらスネークの牙を獲りに来ているのかとスルーしていたのですが、気が付けばその部隊に囲まれていました。


 わたくしの傍らには、10を超える蛇の首が転がっています。回収に来てくれたのなら助かるんですけど……。まぁうろついているMAの姿から見て、リュドヴィックですわね。彼らにそう言った気の利いたものは期待できないでしょう。


「そこの黒いMA! ヴィアリス=エクソシアか?」


「あら、そのダサいMAはリュドヴィックの方?」


 聞かなくてもわたくしを囲んでいるのが、足が逆関節になっているMA「エグズルテ」と、ダサいタンクでお馴染みの「アクラマシオン」ですから、リュドヴィック共和国の手の者であるのは一目瞭然です。


「……天誅!」


 問答無用とばかりに、わたくしに向かって全方位から銃撃と砲撃が始まりました。


「……あっ! わたくしもしかして騙されてました!? 罠でしたの!? でも元はと言えば、頭が悪くて弱いあなたの国の選手がいけないんでしょう!」


「うるさいッ!」


 1機のエグズルテが反応しました。聞き覚えのある声なので、あの決闘の男なのでしょう。……1回戦の方ですわよ?


 それにしてもどうしましょうか? 向こうから発砲してきたので正当防衛になるとは思うのですが……。MAってドライブレコーダーのような録画はされていませんけど、飛行機のように録音はずっとされているんですのよね。カラネアの機体にはついていませんが。


 これ以上国際問題を起こしたら、また父の体調がまた悪くなるかもしれませんし、穏便に済ませますか……。わたくしって温厚で慈悲深いですから。


 そうと決まれば話は早いですわ! わたくしは盾を構えながら突っ込みます。今日の戦いで編み出した新たな技を受けてご覧なさい!


「そりゃっ!」


 盾で防御しながら、バカの乗っているらしいエグズルテに突撃。そのまま盾パンチをハッチにお見舞いします。力加減は3回戦で完璧にマスターしましたものね!


「えいっ!」


 スキアの盾の角がエグズルテのハッチを……あれ? ハッチを潰すどころか、機体を両断されてしまったんですが!?


「おかしいですわね。……もしかしてスキアって頑丈でしたの!?」


『メ、メイヤーがやられたぞ! 撃て! 撃て!』


 砲撃がさらに激しくなります。しかしわたくしはすでに着弾地点から移動しております。巻き込まれて爆発するエグズルテの煙にまぎれて、わたくしは次のエグズルテのハッチでテスト致します。


「ちょっと試させてくださいね?」


『掩護を! 掩護を! ギャッ』


 先ほどより弱めに盾パンチを叩き込むと、やはり機体が両断されてしまいました。わたくしったら勘違いしていたのかもしれません。


 どうしてもこういう時の感覚って哺乳類を基準に考えてしまうと思うんですけれど、量産MAの脆さって、触れたらバラバラになってしまうタイプの昆虫に近いのかもしれません。……トンボとか?


「わかりました。次はもう少し優しくやってみましょう!」


「俺は違うんだ! 無理矢理参加させられて!」


 スピーカーから命乞いが聞こえますけど、安心なさい!


「わたくしは天才ですから次は大丈夫ですわ!」


「やめろ! やめてくれっ! 俺には恋人が……!」


 結果から申しますと、エグズルテは脆すぎて駄目でした。しかしアクラマシオンは5機目で、機体を両断せずに、コクピットをギリギリのラインで潰すことに成功致しました! 意外と難しかったですわ……。たくさんの犠牲が出てしまいましたが、ギリギリ穏便ってことで何とかなりませんか? だめですか?


 この日、わたくしは「皆殺し姫」のあだ名を頂くという実績も解除致しました。おかしいですわね? 2人も生き残ってますのに! それに姫が付くならもう少し可愛いのがよかったですわ。

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