第27話 歪み
「それでエクソシアさんは、シャノンと何の話をしてたの?」
「それはわたくしと聖女様の秘密ですわ。ねぇ? 聖女様」
「そ、そうですね……」
わたくしがニッコリと微笑みかけると、聖女様はガクガクと頷いてくださりました。やはりポンコツあざといですわね……。
「ふーん……決闘して負けたら吐くっていうのはどう?」
「いえ、しませんわよ?」
すぐ決闘で白黒つけようとするミシェルにわたくしはドン引きです。わたくしのように日々を穏やかに過ごすことをお勧め致しますわ。
しかし決闘は校則でも認められていて、両者の合意の元であれば、合法的に何かを賭けてMAで白黒つけることができるのです。野蛮で嫌ですわねぇ……。
「わたくしストーンヒル様に是非お話を伺いたかったのですわ。なんでもわたくしの聖女様を助けてくださったのでしょう? わたくしからもお礼を申し上げますわ」
「わたくしの……?」と首をかしげながらも、ミシェルはどこか遠くを見つめながら話し始めました。
「もう、あれは……運命だね」
「……はい?」
「はぁ……」
わたくしのお間抜けな声と聖女様のため息。そして「なんでそんなこと聞いたの?」と、聖女様からの非難の視線をわたくしは浴びることになりました。
「もうっ! 本当にすごかったんだよ! あんなすっっっごいの初めてで……」
このミシェルの長い話をまとめるには、まず銀河の状況を理解する必要はありませんが、原作でのミシェルイベントを理解する必要があります。
以前にも少しお話を致しましたが、ミシェルには原作ファンに付けられた、いくつかのあだ名があります。その中に「タイマン厨」と言うものがあります。
その所以は、主人公とのフラグの立て方にあります。主人公がリドレス7州連合に所属している場合、ミシェルの好感度を上げようとすると、寮軍内で階級とレイヴンランクを上げていく必要があります。そして紆余曲折を経て、最終的にはミシェルをタイマンでぶっ倒さないといけないわけです。
しかしリドリス7州連合以外に所属している場合は、別の方法で彼女と戦闘し、これを打ち倒す必要があります。
スポット内をランダムでうろうろしているミシェルに遭遇し、タイマンを挑まれ、
それに勝つ必要があります。ランダムエンカウントするヒロインとは一体……?
つまりスポットでミシェルに遭遇し、タイマンで勝つ必要があります。大事なことなので二度言っておきますわね。
タイマンで勝つとフラグが立ち、最終的に寮が違っても味方になるのがミシェルと言う女です。リドリス7州連合への帰属意識が薄く、超実力主義だからかもしれません。
まるで孵化したヒヨコが最初に見たものを親だと思い込むかのように、ミシェルは最初に自分を負かした存在を追いかけ続けます。今回はエフカリストに乗った悪魔さんがそうなってしまったようです。悪魔さんサイドから言わせてもらうとすれば、別に勝ったつもりはなかったんですけれども……。
「んっもう彼ってば最高なわけ!! 絶対イケメンだし!! もう一度会いたいよ~!!!」
結果、こうして夢女子ができあがるわけですわ。ご静聴ありがとうございました。
「もうずっとこの調子で……」
うんざりした表情の聖女様は、わたくしにだけ聞こえるように小声で「もう二度とこの話題を振らないでくださいね」と釘を刺してきました。わたくしが悪いんですの……?
「あれから毎日スポットに行ってるけど、全然会えないんだよね~。どこにいるんだろう?」
あのフォトゥネス寮軍を襲撃した日から、スポットでは連日のようにカラネア狩りが行われています。わたくしたちカラネアはお休みしているので被害はありませんが、動きづらくて困ってしまいますわ。
MAはパイロットの持つ魔力で動きますから、航続距離と言うものがあります。そのため簡単にはカラネアの本拠地こと、夜月商会及び夜月研究所は見つかることはないとは思うのですが……。
まぁ? わたくしの魔力はつよつよですから? グローシアやエフカリストで移動しまくっておりますが、普通はトレーラーで機体を運んでから出撃したり、複座にしたMAを交代で操縦したりするそうです。
エフカリストの改修も一段落して、わたくしの魔獣狩りもお休み中なので、皆様がスポットの中で何をしていらしても構わないのですけれど。
折角ですから闘技大会まではゆっくりすることに致しましょう。
「次はキャンキャン《《鳴かせる》》って言われちゃってさ~~! もうどうしよう! 絶対鳴いちゃう~~~!!」
「うっせぇですわね……」
その後しばらくして、主にピンク頭が頭ピンクでうるさいと言うことで、解散となりました。次にここを訪れるときは、忘れずに耳かきを持って来ることに致しましょう。梵天《白いもふもふ》つきのやつですわ。
翌日、フォトゥネス教国から夜月商会に、スキアを購入したいとの連絡が入りました。ふふふ……これは楽しみが増えましたわね!




