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第23話 チュートリアル

 目的地は主人公がはじめて出撃する場所だけあって、比較的弱い魔獣の出現するポイントです。弱いと言いましても、MA(マギアスピーダ)で相手するような、生身ではとても相手できないような化け物が現れるのですが……。


 暗躍するわたくしのことを発見されるかと心配していたのですが、問題なく皐月学園及びフォトゥネス寮のレーダー範囲内で活動できています。


 これはエフカリストの塗装に使われたレーダーに映りにくくする効果がある塗料のお陰です。MA関連以外のテクノロジーが1920年代頃のレベルですので、いわゆるステルスコーティングをするだけで、かなり発見されにくくなります。これからはコソコソと暗躍していくことに致しましょう。


 しばらくの間さまよって、ようやく眼下にMAの一団を発見しました。映像を拡大し、機体に描かれているフォトゥネス寮のエンブレムを確認すると、わたくしは少し離れた場所に着陸致します。


 森に囲まれた草原に、フォトゥネス教国の量産機「アトロポス」が2列縦隊で12機並び、その最後尾には聖女専用機たる「ヘーメラー」が続きます。


 フォトゥネス教の聖女の選出基準は、「ヘーメラー」を操縦できることです。恐らくですが、あれも怨霊さんが憑いているのではないでしょうか?


 聖女になる条件が怨霊さんの説得なら、わたくしも聖女になれるかもしれませんわね!


 ちなみにヘーメラーは、真っ白な機体に、折り畳み式のエネルギー砲を6門背中に背負っている砲撃支援機です。第2世代機だったはずですから、魔力増幅率も高いはずです。


 突然ですが、天はわたくしを完璧な存在として創造したのでしょうが、1つだけ欠点を造られました。……あれ? このくだり2回目でしたっけ?


 とにかく! わたくしには射撃の才能がないと言いますか……下手っぴだと言いますか……。殴る方が得意なんですのよねぇ……。不思議ですわ。


 そんなわけですから、遠距離戦をすればヘーメラーにボコボコのボコにされてしまうことでしょう。そもそもこちらには遠距離攻撃の手段がありませんしね。射程外から攻撃するなんて意外とセコいですわよね!


 わたくしがフォトゥネス寮軍の一団を観察していると、体高2メートル全長4メートルはあるネズミの群れが、津波のように寮軍の一団に襲い掛かりました。通常のMAは大体15メートルくらいですから、人間サイズに換算すると小型犬の群れに襲われる感じですわね。


 照明弾が打ち上げられ、辺りが真昼のように明るくなります。そして量産機たちがアサルトライフを発砲し始めました。曳光弾の混じった赤い軌跡が辺りを彩ります。わぁ! 花火大会に来たみたいですわね。テンション上がってきましたわ~~~!


 ああいけません。わたくし何も、花火大会を見学しにここに来たのではありませんでした。原作にもあったこのチュートリアル戦闘。……大体チュートリアルって、雑魚と戦ったあと弱いボスが出てきません? わたくしはその場面を見たかったのです。


 なぜそんなものを見に来たのかと言うと、わたくしの中で主人公が《《転生者》》ではないかという疑惑があります。


 なぜ疑っているかと言いますと、それはショタ容姿で、フォトゥネス寮に所属していることです。これってカルヴォノ・マギストリアで、ハーレムルートを目指す場合の定番ルートなのですわ。


 そしてフラワーサロンでの顔合わせイベントで、本来いないはずのわたくしのことをガン見していました。まぁ単に美しすぎるわたくしに見惚れていた可能性もありますけど。


 色々悩んだのですけれど、折角国際問題も起こせるようになったことですし、実際にこの目で確かめてみよう! というのが今回の襲げ……偵察の趣旨ですわ。あとは後々のための布石を打っておきたい気持ちもありけりです。


 何事もなく、大ネズミの群れが駆逐されました。大ネズミはゲームでは最弱の雑魚です。他の一般的なゲームの敵で言うところの、ゴブリンやスライム相当の魔獣です。……おバカデカい攻撃的な生物が大量に居るこの世界って、冷静に考えると恐ろしい世界ですわね……。


 辺りを照らしつつ、ゆっくりと落下していく照明弾が、チカチカと線香花火のように点滅しながら燃え尽きた瞬間、森から黒い巨大な影が猛スピードで飛び出しました。これ、わたくしは感応器官で見えていますけど、普通の目で見てる方は見えないのではないでしょうか?


 1機のアトロポスが森に向かって発砲致しました。まるでわかっていたかのように、正確に森から現れた魔獣に射撃しています。わたくし裁判の結果、あれが主人公だった場合、黒ですわ!


 黒狼が前衛のアトロポスを押し倒し、その巨大なあぎとでアトロポスの腕を喰いちぎりました。わあ! 大迫力ですわ!


 再び照明弾が打ち上げられ、辺りが明るくなると、残ったアトロポスたちが反撃を開始しました。ヘーメラーは動きません。新入りの雑魚狩りを見守るようですわね。


 ほどなくして黒狼が退治されました。これでチュートリアルは終了です。ですがこれはゲームではありません。現実なのです。わたくしも生体パーツになりたくありませんから、主人公の目的も知っておかなければなりません。それによってまたこれからのわたくしの行動も変わってきますからね!


 向こうは旧型の量産機が12機と第2世代機が1機。こちらは最新型ですわよ! 負けるわけねーですわ!


 安全装置を解除! ボイスチェンジャーをオン! 行くぞおおぉぁあ!!!

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