第18話 教室
いやぁつっっまんねぇ入学式でしたわね! 来賓の挨拶がないのだけが救いでしたわ。
学園長とか言うおじいちゃんが長々と演説して、1年の主席らしいイケメンと青髪の生徒会長が挨拶をして終わりでした。目隠しをしていると、ちょっと居眠りしたくらいではバレないことが判明したのは収穫でしたわね。
式が終わり生徒たちは自分たちの教室へと向かいます。教室は年齢と国ごとに分かれています。
教室に入ると席順が黒板に貼り出されていました。……しかしこの教室での席順、何かおかしいですわね……? 名前順でもないですし、窓側の前の方に貴族と王族が固まっていませんこと? つまり平民ぶっ殺しゾーンですわね?
学校の中では身分は関係ないとなっていますが、人間関係によるトラブルは自己責任となっております。舐めた口聞いてると、ある日突然生徒ごと机がなくなっていてもおかしくはありません。わたくしも気を付けませんと……。
わたくしの目の前の席があの王子なのがとても不愉快です。どうせならアリシア嬢にしてくださいまし……。
以前にもお話しましたが、皐月学園はマギコークスを採掘、採取するために設立された歴史があります。歴史はそれほど深くないのですが、五ヶ国の採掘を支えるため、その規模は巨大です。
まず寮ごとにMAの基地があります。さらに皐月学園にもMAが大量に整備、駐機できるだけのスペースがあります。その代わり学園以外何もない荒野のド真ん中にあるんですけどね……。
王子やら貴族の子息やら政治家の子どもやらと、どこのクラスも要人が多いようですから、警備的な観点から見てもその方が楽なのかもしれません。
先ほども言いましたが、クラスは年齢と国ごとに別れており、5年生まであります。大体1クラス50人前後のようですので5ヶ国合わせて1200人くらいでしょうか? 死んで減ることはあっても増えることはありませんものね? オホホ!
わたくしのクラスの担任は、無精ヒゲでだらしない感じのおじ様でした。原作だと元凄腕エースパイロットみたいな設定がおありの御仁だったような……? エロゲに登場する男のことなんて誰も覚えていませんわよね。
それから全員の自己紹介イベントがあったりして、わたくしは学園物っぽい! と、ひそかに感動致しておりました。ついに本編が始まりますのね! なんだか感慨深いですわ……。
わたくしが12歳で適応試験を受けてからは怒涛の3年間でした。性に目覚めたり、夜月を半ば支配下に置いたり、魔獣をうんざりするくらい狩ったり……。
なんだか爛れた狩りゲーみたいな人生を送ってきてますわね? 公爵令嬢とは一体……?
そんなことを考えていると、わたくしの自己紹介の番のようです。全然聞いていませんでしたわ。
「ごきげんよう、皆様。わたくしはエクソシア公爵家のヴィアリス=エクソシアです。眩しいのがとても苦手でして、このように目隠しをしておりますの、ご容赦くださいまし。ですが、しっかりとレースの隙間から見えておりますのでご安心くださいね。そしてわたくしは『目が見えるのか』と問われるのが大嫌いですので、問われる際はご覚悟のほどよろしくお願い致しますわ」
わたくしの言葉に目ぇかっ開いて振り返ってきた王子の顔は笑えましたわね。
◇────────────────◇
学校行事や授業の流れの説明が終わり、今日は下校となりました。5月にはMAの闘技大会もあるんですわよ。あ、ちなみにこの世界の暦は日本式ですので入学は4月ですからね。4月の国って実は珍しいみたいですわよ。
ではヘアサロンに行ってから夜月に行く準備をしましょうか! わたくしの新型機ちゃんの改修が終わる予定なんですのよね! 楽しみですわ~~~~~!
「あれ? エクソシアさん帰るの?」
「ええ、ハロウェル様。ごきげんよう」
「待て。なぜエクソシア嬢が参加しない」
「ほぇ……はい?」
急に横から話しかけられて、お間抜けな声が出ちゃったじゃないですの! こんのお排泄物王子……! いつか処しますわ。
「……エクソシア卿は何か言っておられなかったか? サロンについて……」
お父様が? 何か言ってらしたかしら? 今朝の父との会話を思い出してみます……。
『いいかい、ヴィア。帰りにサロンに寄って顔を出してくるんだよ。決して問題を起こしてはいけないよ? わかってるね、ヴィア。顔を出すだけでいいんだ。ヴィア聞いてるかい? ちょっとヴィア!?』
回想の中でもお父様はお腹の辺りを押さえてらっしゃいました。体調は大丈夫なのでしょうか?
「あ~~~~……ヘアサロンに寄れって言ってましたわね」
「絶対違うよ!? 学校内にあるサロンだよ!? 絶対寄った方がいいよ!!!」
「……アリシア、頼めるか?」
「わかった。私が連れて行くよ」
ちょっと勝手に決めないでくださいます!?




