第117話 水着回その1
皆様、ごきげんよう。本日は領都の市街地にある別荘よりお届けしております。ちなみに領都の名前はエクソシアなのですけれど、自分の名前と同じ地名ってなんだか呼びにくいですわよね?
本日ついに、ついに念願のこのイベントを起こすことができました。わたくしが1週間の猶予をもらった桜照皇国のイベントを、なんとか4日で終わらせ、後始末を必死にこなした結果、なんとか1日だけ完全な休日を手に入れることができたからです。
いえ、いつも休日はあるのですけれど、現状わたくしにしか対処できないジェニシアとか言うおファッキンな敵が居ますから、あまり遠出できないのですわよね……。
皆も忙しい中、わたくしのためにスケジュールを合わせてくださいました。感謝を表しまして、今日という日をエクソシア公国の祝日にしようと思います。却下されそうですけど。それにしても、全員が一堂に会するなどなかなかありませんから、わたくしとっても楽しみですわ。
そしてもちろん目の前にはプールがあります。25メートルの学校にあるようなプールではなく、ひょうたん型の水遊びをするためのプールですわね。
ついに! ついこの時が来ました! 水着イベントのお時間ですわ!
本当は海がよかったのですけれど、残念ながらエクソシア公国に海はありません。海なし国なのです。湖はありますが、大勢で行くには少し遠いのですわよね……。
我が国はウィングリー王国の内地側の東端にあります。西端には以前使節団がいらしたウッコネン公爵領がありまして、あちらには海がありますから、いつか行ければいいですね。ウッコネン公爵領は海産物で有名ですし。
「素晴らしいです、お嬢様。私はお嬢様に付いて来て……本当によかったです……」
「サラはそんなにプールが好きでしたの?」
サラはプールサイドにパラソルとテーブルを設置しています。もちろんサラにも水着を着せていますわ。
サラのためにわたくしが未夢にリクエストした水着、それはメイド風水着と呼ばれるものです。黒いビキニに白いフリルがふんだんに使われていて、頭にはヘッドドレス、そして腰には小さなエプロンをつけています。思わず前世知識チートというものを使ってしまいましたわ。
うんうん、とても可愛らしいですわね。ただサラはお胸がとても大きいので、どことなくいかがわしいお店のような雰囲気になってしまっていることは否定できませんが……。
「普段はお淑やかで大人びた雰囲気のお嬢様が、布面積が狭めの黒ビキニに淡い水色のパーカーを羽織ってサングラスをかけている御姿、素敵です。スポーティーな中にも大人な魅力が溢れています。大きくなられましたね、お嬢様……ああ、涙が……」
「あ、ありがとうございます? 褒めてるんですわよね?」
「もちろんです!!!」
「……あなたたちは主従はいつも愉快ね」
次にプールサイドにエントリーしてきたのは、サングラスをかけたツインテ地雷女こと未夢でした。今日は黒地にピンクのラインが入った競泳水着を着ています。上着を左手に持ち、右手にはすでに大きなカクテルグラスに入ったフルーツてんこもりのトロピカルな飲み物を持っておりました。……絶対お酒ですわよね?
未夢は小柄でスレンダーですから、ああ言った水着を着ると、中学生にしか見えませんわね……。年齢は聞いても教えてくれないので、いまだに不明なのですけれど。
「未夢、飲酒しながらの水泳は危険ですわよ!」
「……私は泳がないから大丈夫よ。今日はわたしの個展なの。この水着はドレスコード。楽しんでいってね」
「そういう認識なんですの!?」
アーティストと化した未夢は、プールサイドチェアに座るとサイドテーブルに飲み物を置き、サラにパラソルを設置するように求めています。あの、わたくしのメイドなんですけど……。
「相変わらず世界が滅んでもマイペースに生きていそうな女ですわね」
すぐに寝ころんでくつろぎだした未夢は放置しておくとして、わたくしは準備体操を始めることに致しました。
今日は水のかけあいをして、きゃっきゃうふふを楽しんだあと、ビーチボールを投げ合って、さらにきゃっきゃうふふでむふふなアクシデントが起きる予定ですから、準備を怠ってはなりませんわ!
次にプールサイドに現れたのはシャノンでした。流石は聖女様です。集合時間の10分前に到着して準備してました。まさに生来の真面目さが滲み出ていますわ。
真面目な聖女様は真面目な聖女様らしく、白いワンピースタイプの水着を着ていました。しかし清楚な雰囲気とは裏腹に、脇腹からおへそにかけての部分がレースになっていて、シャノンの可愛いらしい《《おへそ》》が白日の下に晒されています。あのおへそはわたくしのものですわよ!!!
肩に同じく白いケープを羽織り、つばの広い麦わら帽子を被っています。よくわかっていますわね、未夢……流石わたくしの認めた女ですわ。
シャノンは準備運動をしているわたくしを見つけると、手を振ろうと腕を上げたあと、ぴたりと固まってしまいました。そしてわたくしに掴みかかる勢いで迫ってきます。
「ヴィア! そんな卑猥なことしてはいけません!」
「いえ、これは体操ですから……卑猥ってあなた……」
「そんなに揺らして何がしたいんですか!? いかがわしいからやめなさい!」
「ちょっと酷くないです!?」




