第112話 改造とは
のたうつ鉱血竜から距離を取ったわたくしの視界に、アグリオスより巨大なMAが飛行しながらこちらに向かって来る姿が見えて参りました。
『そのサイズ感……ベースはアラフニス3ですの?』
『……そうよ。驚いた?』
多数のブースターから炎を吐き出しながら空に浮かぶ巨体。見た目はまるで合体ロボットなのですけれど、合体はしていないはずです。カラーリングは緑でアグリオスと同様にコアブロックの下に、巨大なエネルギー砲が備え付けられています。丸みを帯びた装甲と太い脚。まるで……脚の生えたエネルギー砲が浮かんでいるみたいですわね?
『うちは本当に再利用が得意ですわね。アグリオスもそうでしたわよね?』
『……あれはアラフニス2のコアブロックを使ってた。これはアラフニス3の。名前は「エピスティマス」よ。あとお土産がある』
『お土産ですか?』
エピスティマスは背中のウェポンラックから楕円形の何かを手に取りました。それをグローシアに渡そうと近付いた時、わたくしたちを薙ぎ払うように鉱血竜の尾が振るわれました。
『ちょっと! 危ないですわね!?』
『……あっ、ごめん。落とした』
『えっ?』
なんとか回避したグローシアとエピスティマス……と思いましたら、尾がかすったのか、カーン! と高い金属音を立ててエピティマスが手に持っていた楕円形の何かが円盤のように回転しながら飛んでいってしまいました。
『それでお土産って結局何でしたの?』
『……グローシアのチェーンソー。翠蘭が改造したやつ』
『ちょっと!?』
わたくしは急いでグローシアを降下させると、チェーンソーらしき物体を追いかけます。すぐに追いつきキャッチ致しました。しかしわたくしとチェーンソーさんはどこかでお会いしたことがありましたっけ? となるレベルで変わり果てた姿をしておりました。
以前は金属製の重厚な工具といった見た目で、2列の歯が互い違いに回転する武器だったのですが、改良されたチェーンソーは薄型で歯は1列しかありません。そして見た目もすっきり洗練されていて、「改造」という言葉が適用されるのかどうかわたくしにはもうわからないですわね!
その中でも最も「改造?」された点は刃でしょう。通常のチェーンソーはその名の通り、チェーンについている刃によって切断するのですが、新たなチェーンソーの刃は緑色をしていました。……はい、ピュアマギコークスクリスタルの破片を用いていますわね。ピュアマギコークスクリスタルはわたくしが知る限りでは最もこの世界で硬い物質でもあります。
このピュアマギコークスクリスタルはアラフニス3に使われていた破片状のものでしょうか? 軽くて扱いやすくなっておりますし、切れ味が楽しみですわね!
──グオオオオオオン!?
なんだか哀れになる鉱血竜の悲鳴が聞こえて参りました。嫌な予感に眉を吊り上げながら振り返ってみると、エピスティマスがエネルギー砲を乱射しておりました。
「……あははははは! あはははははははは!」
「未夢さん、撃ちすぎ! 撃ちすぎです! 砲身温度の警告が出てますって! ねぇ聞いて!? 聞けよ!!!」
エピスティマスのスピーカーから愉快な会話が垂れ流されていますが、そのさらに後ろでは緑色のエネルギー砲を喰らった鉱血竜がのたうち回っております。なんだか哀れですわね……。
そんなことよりミミズの脳ってどこにあるのでしょうか? 半分に切ったら増えるんです? と言いますのも鉱血竜の頭部と言いますか、先端は牙みたいなのがたくさん生えています。あそこに脳があるのでしょうか? ミミズとは違うと思いますが気になりますわよね。
閃きましたわ! とにかく細かくしていけばそのうちわかるのではありませんか? 早速試し切りと参りましょう!




