第111話 震えた山
わたくしレベルになりますと、第二形態もソロで討伐してしまっても構わないのでしょう?
レベルアップしたわたくしのグローシアの手刀を、このおバカデカヤツメウナギのピュアマギコークスクリスタルソースがけに叩き込んで差し上げますわ!
「ふんぬっ!!」
変身中は攻撃をしてはいけないルールなどここにはありません。わたくしは変身ムービー中だって殴れるのならば殴るのです!!
手刀を振り下ろすと、音を立ててわたくしと鉱血竜の間にエネルギーフィールドが発生します。しかしそんなことはわかっています。気にせずそのまま押し込むと、するりとエネルギーフィールドを抜ける感覚がして、手から発生した斬撃が鉱血竜の体に傷をつけました。
「やりましたわ! ですが浅いですわね……」
ついにグローシアの拳だけでもエネルギーフィールドを貫通してダメージを与えることに成功しました! しかしその攻撃は鉱血竜の表面の鉱石を浅く削っただけですわね……。
この1撃を叩き込むのに、結構な気合を入れなければなりませんでした。……この全長がわからないくらい長くて太くてエネルギーフィールドで防御までしてくる巨大魔獣をわたくし倒さなければならないんですか……!?
『未夢! 聞こえますか!? 増援はまだですか!!』
無線を発信してみますが返事はありません。そういえば未夢が集合時間を言っていたような気がしてきました。……何時でしたっけ?
◇────────────────◇
わたくしが増援を待っている間も鉱血竜は暴れ続けていました。竜洞山の形は変わり、ところどころ噴火しているようにマグマが溢れています。
結局1時間と少しの間、適当に殴りながら増援を待っていたのですが、その間に桜照皇国軍がやってきて、返り討ちにあっておりました。ああいうのってすべて税金なんですよ。大事にしましょうね。……え? 税金でできたMAの四肢をもいでいた? あっ、未夢から通信が!
『……何してるの? 人の話聞いてた? お昼って言ったよね?』
『それどころではないでしょう!! 来てくださいまし! 早く来てくださいまし!!』
『……はぁ……巻き込まれないでね』
未夢がそれを言い切る前にわたくしの近くを《《緑色》》のエネルギーの投射体が通り過ぎました。もうちょっとズレてたらかすってましたし、未夢は『巻き込ま』辺りでもうトリガーを引いてましたわよね!?
このエネルギーの投射体はいつぞや雪猿の巣に撃った「アグリオス」の欠陥エネルギー砲よりもさらに太いです!
命中した緑色のエネルギーは鉱血竜のエネルギーフィールドを貫通し、そのまま巨体を貫きました。のたうち回る鉱血竜の悲鳴が山を震わせます。
『あなたそんなの撃って大丈夫ですの? またゲロ吐きますわよ?』
『……私は一度たりともゲロなんて吐いたことない。今日は魔力タンク兼スペシャルゲストに来てもらってるから安心して』
『やっほー、ヴィアリスさん。えーと、魔力タンクでーす。あはは……』
『はい? ……アリシアは何やっていますの?』
のたうつ鉱血竜から距離を取ったわたくしの視界に、アグリオスより巨大なMAが飛行しながらこちらに向かって来る姿が見えて参りました。




