第99話 セカイ系
「なぜだ? なぜだ!? なぜだァ!?」
まるで錯乱でもしたかのように当たらない攻撃を続ける祝融。対するわたくしも攻撃を受け、避け、そしてよい感じの反撃を繰り出します。まるでトレーニングモードですわね!
そして炎帝がの関節が赤くなってから30分ほど稽古をつけたりつけられたりしていたところ、ついに魔力が切れたのか祝融はコクピットの中で粗相をしてしまいました。やっぱり肩が赤くなるやつはだめですわね。
「もう……もう堪忍しておくれ……おヴぉぇっ……」
出力が上がる代償に稼働時間が短くなるんでしたっけ? なんだかリミッター解除的で格好いいですわよね。コクピットのモニターの隅に活動限界時間が出てくれるともっと素敵ですわ!
「あらあら、もう終わりですの? このままですと1050年は鉱山労働をすることになりますわよ?」
「それは狸爺にやらせろ! 妾は無理を言って仕事を抜けてきておるのだ……堪忍してく……うぷっ!? ……おろろろろろろ」
「わぁ……」
コックピットの中がひどいことになってそうですわね。一体誰が掃除するのでしょうか……?
それよりもグローシアの腕と脚から飛ばす謎の斬撃も鋭さを増してきて、わたくしとっても満足ですわ。
「そういえばあなたたちってなんでわたくしに挑んできたんでしたっけ? もうすっかり忘れてしまったのですけれど……」
「妾に聞くでない……」
それが最期の言葉でした。魔力の切れた炎帝は力なく膝をつきます。R.I.P.ですわ……。まさしくあなたも強敵でしたわ。
「ところでご覧になっている皆様の中に腕に自信のある方って居られません? わたくし、もう少しで何かが掴めそうなのですけれど、実験……いえ、どなたか組み手をして頂けませんか?」
先ほどまで盛り上がっていた観客席も、わたくしの呼びかけににスンと冷え切り、誰もわたくしに返事を返すことはありませんでした。無視はよくないですわよ!!!
まぁいいです。それよりも祝融が桜照皇国イベントから抜けてきてしまったら、問題があるような気がするのですが、大丈夫なのでしょうか?
あのイベントは再封印派と封印解除派の戦いで、祝融は再封印派の用心棒みたいなキャラだったはずですから、抜けたらかなりマズい気が致しますけど……。
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結局チアリーダー部こと自称機極術を名乗る集団は、うちにもたらした被害とそれにまつわる諸々を賠償するまでスポットで労働をすることとなりました。
常識的に考えれば君主を狙った暗殺者集団なのですから、族誅や族滅と言いまして、犯人のみならず、その一族まで死罪になります。あ、うちは封建国家ですからそういう犯罪には裁判とかありませんわよ?
しかし何やら先達て鉱山で働き始めている玄冥、中天、紫后の労働態度がよろしいとかで、騎士団員やカラネアの者からも減刑の嘆願がきているそうです。
わたくしと致しましてもカモがネギを背負ってきた、くらいにしか思っていませんので別に構いません。あの上清とかいう高齢者の方もMAに乗れるようですし、頑張って働いて頂きたいものですわね。
ただ問題がまだ1つ残っています。
「頼む! 妾が帰れねば本当にマズいことになるのだ! 世界が滅ぶやもしれぬ! この通りだ!」
急にセカイ系主人公のようなことを言いながら頭を下げる祝融。話を聞いてみると、やはり用心棒の仕事に戻りたいとのことでした。
じゃあなぜここに来たのかと問うてみますと、「上清は自分の大叔父で断れなかった」と言う、一族経営されている中小企業の闇みたいな返事が返ってきまして、わたくし胸が痛くなりましたわ。有給休暇は会社が支給しているものではないと何度言ったら……!!! ぎりっと思わず歯ぎしりまでしてしまいましたわ。
「ええ、ええ、わかります。わかりますわ。労基は役に立ちませんものね!」
「ろ、ろうき?」
「いえ、なんでもありません。祝融、あなたは二条綾子のボディーガードをしていたのでしょう? 竜血脈は今どうなっていますの?」
「なぜ竜血脈のことを知っておる!? いや、巫女様はご息災だが……」
巫女様ねぇ……? 巫女と言っても生け贄の巫女ですのに……。




