第100話 まとめ
祝融を帰すかどうかは一旦保留となりました。どうせ炎帝のお掃除と修理があるみたいですから、すぐには帰らせることはできませんし。
それにしてもゲームと現実の差というものを感じてしまいますわね。ゲームのイベントって1つのことを一息に片付けることが多くないですか? 現実世界では並行して大量のイベントが進行していますので、わたくしのお目目はもうグルグルですわ。
まず「ウィングリー王家をぶっ殺す」でしょう? これがわたくしのメインストーリーですわ。
進行度としましてはハロウェル家攻撃イベントが終了し、ジェニシア対策をしよう! のイベントが始まったところですわね。ですがこれは翠蘭に任せるだけで、わたくしは何もできませんし……。
そしてサブイベントとして「リュドヴィック王国亡命政府」「チアリーダー部襲撃」からの「二条綾子イベント」「主人公とフォトゥネス教関連」「バカンスに行く」が進行中です。すっかり音沙汰のないヒロインたち……生徒会長とピンク頭は今頃何をしているのでしょうか?
それはともかくとして、まず亡命政府はちびっ子と出会ったくらいでわたくしには関りがありませんし、二条綾子イベントは進行度によってはヤバいかもしれませんが、今わたくしが介入するには距離が……。主人公とフォトゥネス教国は今のところ大きな動きはなく現状維持といったところでしょうか?
わたくしの中ではバカンスが最重要なのですけれど、戦時中にバカンスに行くような君主なんて、大体失脚すると相場が決まっていますので困ったものですわよね。どうすれば水着イベントが起こせるのですか? 誰か教えてくださいまし……。
水着イベントに思いを馳せていますと、カラネア諜報部よりハロウェル家の長男……害獣さんの取り調べ結果が届きました。
その報告書によると、やはり第3王子は第1王子だったようなのです。いえ、見た目は第3王子のままのようなのです。中身が第1王子になってしまったとのことでした。
第1王子は生まれた時から体が弱く、長くは生きられないと言われていました。そして数年前に体調を崩し、表舞台から姿を消していたのです。そしてその数年後に、再び表舞台に現れた時には、以前からは考えられないほど元気な姿を国民に見せておりました。まぁ色々と中略しますが、つまりわたくしがミンチにしたのは第1王子の影武者だったわけです。
エメラルドアイをピュアマギコークスクリスタルにする技術を応用して第1王子の脳か何かを第3王子に移植したのではないか、とは翠蘭の推測です。
第3王子の方の脳はどうなったのでしょうか? もうお亡くなりになっているのかもしれませんわね。アリシアにこのことを伝えるのは少し気が重いですわ……。
他にも第1王子の母である第1王妃が現国王に寵愛されていたことや、その王妃が出産後すぐに亡くなってから国王がおかしくなり始めたことなど、色々と報告書には書かれておりましたが、まぁどうでもいいことでしょう。前の国王はもう死んでおりますし、新たな狂王を殺すのもまたノブレス・オブリージュってもんですわよ! 多分!
「お嬢様、こちらお嬢様のご学友よりお手紙が届いております」
「ご学友ですか?」
わたくしが一通り報告書を読み終わった頃、サラが一通の手紙を持ってまいりました。かわいいピンクの封筒に書かれた差出人の名前は松浦静子嬢でした。わたくしのファンクラブを仕切っていた少女ですわね。
「……嫌な予感がしてまいりましたわ……」
そう、わたくしは彼女に1つお願いをしていたのです。もし二条綾子嬢に何かが起こった時には、わたくしに報せてくださいと……。二条綾子イベントを察知したかったのでお願いしたのですが……。
封筒から取り出したかわいい便箋には、頭語と時候の挨拶から始まるお手本のような素晴らしい文面が綴られておりました。
……やっぱだめそうですわね……。
「サラ、祝融を呼んできてください。それと翠蘭に連絡を」
いつになったらバカンスに……バカンスに行けますの!?
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