後光が差して見えます
『今宵、我が国に大聖女様が誕生した。目にした者も多いだろう。歴代文献に記載された聖女様達よりも凄まじい光を放ち、ステータスの記述も大聖女様となっている。セレスティア・ブドワール嬢だ。』
陛下の口上の後、ラシードのエスコートでデビュタント会場である講堂へと足を踏み入れた。
拍手喝采の中、迎え入れられた私は陛下に百合の生花で作られた冠を頭に乗せて貰い、何か言葉を送るようにと言わた
『本日、デビュタントを迎える身でございます故、お初にお目にかかる方ばかりと存じます。聖なる泉により大聖女の認定を頂きました、セレスティア・ブドワールに御座います。若輩者ではありますが、ヴィクトワール王国の為尽力致しますので、以後お見知り置きを』
私の口上が終わると、再び拍手喝采が起き、陛下によって、デビュタントと大聖女誕生の2つの祝い事であると言う言葉と共に乾杯が行われた。
一応、明日、改めて登城する約束を交わし家族の元へと帰されたのだが、話し掛けたいオーラを存分に醸し出しながらも、様子見中の貴族達。
目を合わせたら負ける!と、私は遠くを見つめるに徹したのだけど…
あ、あ、あ…
あの後ろ姿は……
夜明けを思わせる藍とも紫とも思わせる髪色
あの素晴らしい色を見間違え筈がない。
私の足は、自然に、ゆっくりでありつつも確実にその姿へと進んでいく
『お、おい、ティア?どうしたんだい?』
『ティア?どうしたの?ティア?』
様子のおかしい私の後を、両親も不安気についてきている気配を感じるけど、止まれる筈がない。
だって、あの姿は…
その時、その後ろ姿がこちらを振り返り後光が差した。
少し垂れ目がちな澄んだ海のような色の瞳に、左目の下には泣き黒子。
スッと通った鼻筋に、薄めの唇
全てが平伏してしまう程の美しいその顔は、私が愛してやまないお義兄様
間違いなく、アイク・ファーロング(養子前の家名)様。
私に気付いたお義兄様は、フワリと微笑んで真っ直ぐに私の元へ向かってきた。
脳内は、お義兄様!好き!最高!美しい!とにかく好き!と、グルグル回る。
『はじめまして、大聖女様。隣国ラスフィンドルより参りました、ラシードの従兄弟、アイク・ファーロングと申します』
……ふぇ??
ラシードの従兄弟??
なにそれ知らない。
ブドワール家の遠い親戚筋じゃないの…?
あぁ、でも、声もお顔も所作も全てが完璧だもん
なんでもいいや。
好きすぎて頭が沸騰しそう
何か言わなきゃ
とにかく…
好きーーー!!
『好きーーー!!』
と、叫んだ瞬間目に飛び込んで来たのは知らない天井で。
私の部屋のものより遥かに大きく、ふわふわなベッド。
豪華なシャンデリアに、落ち着いた色合いの壁紙にカーテン。
アンティーク物であろう気品漂うドレッサーをはじめとする家具類
『え?どこココ。まさか、お義兄様に会えて昇天かまして別次元?!』
前世で昇天キッカケで転生したのだとすれば、昇天転生パートⅡだってあるかもしれない。
やだやだやだ。
お義兄様にせっかく会えたのに、聖女の世界へ戻りたい!!
ベッドの上で、蹲っているとノックの音
『…はい』
とりあえず、嘆いてないで現状把握しなきゃと応じれば、扉から入ってきたのは、セレスティアの両親。
良かった!昇天してなかった!!
『お父様!お母様!』
声を掛ければ、お母様にぎゅっと抱きしめられた。
『あぁ、ティア!!扉前を警備してくれる騎士の方から、物音がするから起きたかもしれないと聞いて直ぐに来たのよ!目が覚めて良かったわ!体調はどう?痛い所もない?色々あって疲れたでしょう?大変だったわね』
お母様には珍しく早口で捲し立ててくる
あと、物音と言うよりは叫び声ではないでしょうか…?
お恥ずかしい。
そして、心配そうに眉尻を下げたお父様が、私がここに寝ていた経緯を話してくれたんだけど…
私ってば、やらかしてた




