3
祝福を終えて、お屋敷に帰る馬車の中でも鼻息荒く大興奮な私を両親は、少し心配そうに何度も声を掛けてくれたのだけど、この興奮はちょっとやそっとじゃおさまる事もなく、帰宅して直ぐにベッドに寝かされお医者様を呼ばれた。
『…少し心拍は速いようですが、健康状態になにも問題はありません。本日は、祝福を受けに行かれたのでしょう?初めての馬車や遠出で驚かれたのではないでしょうか?』
お医者様が、白く光る魔法陣のようなものを私に翳しながら、両親にそう説明すると両親はホッと息を吐いた。
『ティアに何も無くて良かったわ…』
『あぁ、驚いただけであるなら良かった。ティア、外は広くて驚いただろうが、悪いものからはお父様が守ってあげるから安心するんだよ』
両親が、ベッドに寝かされている私の頭や頬を撫でながら優しく話し掛けてくれる
流石ヒロイン
家族にも愛されてる!
…まぁ、ヒロインだからって家族仲がいいモノばかりでもなく、冷え切った物語も沢山読んだ事あるし一概には言えないけど。
それよりも!
問題はこれからだ。
この国では、15歳から学園に2年間通う義務と、学園入学前にデビュタントの茶会等が開催されるのだけど、開催は各派閥と言うか、公爵家や侯爵家と懇意にしている家の為に、その大元である家がデビュタントの茶会を開催してあげるらしい。
簡単に言えば、寄子の為に寄親が開催してあげる感じ。
たとえその年の対象者が1人であっても、茶会を開き招待客を呼ぶ事が出来るという、人脈や権力の見せ所でもあるのだ。
例外があるとすれば、王家にデビュタントが必要な子供が居た場合。
その時は、王城で国中の貴族を集めてデビュタントの夜会が開かれる事になっている。
ヒロインと同い年に、第一王子と第二王子が居るのでヒロインは王城でのデビュタントになる。
ヒロインは、その王家によるデビュタントの夜会に参加した時に、お城の中央にある聖なる泉をピカっと光らせた事で、聖女が誕生したぞー!みたいになって学園に通いながらも国の防衛に関わる事になるんだよね。
その為に、私しか子供が居なかった両親は親戚筋から養子を迎えるんだけど…
これが、推しであるお義兄様!!!
お義兄様は、養子に入ったブドワール家でお父様の補佐について領地経営を学ぶのだけど、ゲーム内の役目は、ヒロインのサポート係。
このステを上げたら?とか、この時期に此処へ行くと何かいい事、もしくは悪い事がありそうだよ。
みたいな、助言キャラ。
そして、どのキャラを攻略したとしてもブドワール家とセレスティアを支えてくれる善良な次期当主として存在するキャラだ。
あぁぁぁ
早くお義兄様に会いたい。
あと14年も待たなきゃだなんて…
いや、あと14年も自分磨きが出来ると思えばアリなのか?
魔の国の王を攻略するには、ステータスをカンストしなきゃいけないように、それぞれの攻略キャラに必要なステータスがあるんだけど…例えば、宮廷魔術師団長の息子を攻略する場合は魔法の数値が1番高くないとダメ(カンストしているステは査定外)みたいな感じ。
まぁ、知ってるゲームや小説の世界だ!って思ったらキャラの設定が違ったり思うように行かなくて、リアルにここで生きてるから当たり前か…みたいなパターンも多いし、全部鵜呑みにしてはいけない事は念頭に置きつつ…
逆に、リアルに生きてるからこそお義兄様ルートを開拓しちゃってもいいでしょう?!
シナリオの強制力とかもあるパターンなんかもあるけど、とりあえずやってみたって良いんじゃない?!
と、私は、ヒロインであろうと分かった瞬間から鼻息荒くしているのだ。




