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ぼやける視界の中で、口から発せられた新生児特有の泣き声を聞きながら私の脳内は?が乱舞していた。
え?
なんでこんな視界が悪いの?
この泣き声、私だよね?
え、なんか手足どころか、身体が自由に動かないんだけど?!
『旦那様!奥様!とても可愛らしいお嬢様ですよ!』
そんな声の後に感じた浮遊感。
『ああ、アリー。良く頑張ったな、こんなに可愛い娘を産んでくれてありがとう。』
顔はハッキリしないけれど、男性らしき人がこちらを覗き込むと、浮遊感が無くなり腕に支えられたように感じた。
あぁ、この人に抱きかかえられてるんだ。
と、他人事みたいに感じつつも口からは相変わらず泣き声が止まらない。
『ああ、ステフ。私にも可愛い娘の顔を見せてちょうだい。』
『そうだった。ほら、可愛いだろ?髪の色は、アリーと同じだ。うっすらと開いた瞼から覗く瞳の色は、私と同じようだ』
少しの降下する重力を感じると、男性の顔の横から覗き込んでくるシルエット。
あぁ、この2人が私の両親なのか。
と、考えた所で一度私の意識は途切れたのだった。
それからの一年は、思うように動けず、話せず、ただひたすらこの状況について考える日々だった。
まぁ、こんなに意識もハッキリしてるのにも関わらず、この身体であるという事は、信じ難いけど転生とかいう物なんだろうとは予想は出来た。
乙女ゲームにハマる素養を持った私は、転生物や冒険物といったラノベも読み漁っていたし。
ただ、読んでいたストーリーに多かった、これ、あのゲーム、または、小説だ!みたいな閃きは未だに訪れていない。
ハッキリ見えるようになった両親の顔を見ても、この瞳の色にこの髪色なら…と、いくつか候補はあるものの、コレだ!みたいな感覚はない。
記憶もあるから、なんらかの事故に遭って前世を思い出すパターンも無さそうだし…と、思っていた私が歓喜したのは、1歳の祝福の儀の最中だった。
『今日は祝福をして頂きに、教会に行きましょうね』
と、母に抱き上げられ向かった先の教会。
母に抱かれ、父が皮袋をいかにも司祭みたいな、白地の服を着たおじいちゃんに渡して、おじいちゃん司祭さんが、私の頭に触れながら発した言葉
『ヴィクトワール王国、ローゼス教会所属、ルイス・ワーカーの名の元に願います。この者に祝福を。この者の名は、セレスティア・ブドワール。』
……え。
ヴィクトワール王国?
セレスティア・ブドワール??
待って、待って、待って
私の名前ってティアじゃなかったの?
『私の可愛いティア』
って、両親も言ってたし、家名なんてそういや初めて聞いたし!?
使用人もいるし、抱かれて歩く行動範囲だけでもそれなりにデカくて綺麗なお屋敷だったから貴族なのかなー?って、なんとなくは思ってたけどさ!!
ヴィクトワール王国のセレスティア・ブドワールって、聖女のヒロインじゃん!!転生物じゃなかったから、選択肢から外してたけど!!
確かに、ストロベリーブロンドに琥珀色の瞳だったわ!
『あ、あら?どうしたのかしらティアってば』
『ティア?ビックリしたのかい?』
『祝福の力が満ちているのかもしれませんな』
目を見開いて鼻息の荒くなった私を、司祭様と両親が見てそう言葉をかけてくれるんだけど、ハッキリ言って大興奮である
だって、これ…
私の人生で1番大好きだった推しに会えるって事でしょう?!




