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お義兄様…否、これからはアイク様と呼ぼう。
養子に入らない未来があるかもしれないし?
という事で、アイク様と一緒に話し合いが行われる部屋に辿り着いて、扉の両サイドに居る騎士に声を掛けると、直ぐに扉が開かれた。
『ファーロング伯爵と大聖女様がいらっしゃいました』
中へ入れば、一斉に向けられる視線。
空席は2つだけ…
待って。
アイク様は、所謂王族だもん。
私、しがない伯爵の娘なのに、国の重鎮待たせてるー!!
陛下に王妃陛下、ラシード。
それに、王弟殿下と側室の妃殿下…かな?隣りには第二王子のマテウス。
あとは、私の両親。
『お、遅れてしまい申し訳ありません』
上の者からの言葉を待つマナーなんて言ってらんない!!
って事で謝罪の言葉を口にすれば
『いや、大聖女様にはゆっくり来て貰うようアイクに伝えてあったのだ。遅れてなどおらぬ故、安心してくれてよい』
そうだったの?
それなら…いや、でも入りにくいよ!
『セレスティア嬢、こちらへ』
気にしている様子もなく、アイク様が、両親の間の席へと案内して椅子を引いてくれた。
紳士!紳士がいるわ!
『ありがとう存じます』
笑顔で返し、椅子に腰を掛けるとまた、私に集中する視線。
あ、あれ?
ダメだった?!
陛下に座れって言われるまで座っちゃダメだった?!
でも、椅子を引かれたら座るべきなんだよね?
立った方が良いのか思案していると、陛下がゆっくりと口を開いた。
『大聖女様は…アイクと知り合いだったのだろうか?』
ええ!前世から1番大好きな人です!
とは言える筈もなく。
『昨夜のデビュタントで、初めてお目に掛かりました。』
グッ…やら、ブフッ…といくつか声が聞こえた気がするけど、気のせい?
見回したけど、みんな真顔だわ。
『ふむ。では何故初対面でアイクを祝福し、その…』
なにやら言いにくそうな陛下。
あっ!両親から、アイク様と婚約したいと聞いたのか!
陛下の思っている5人じゃないもんね。
気持ちを聞いた上で、別の人を勧め辛いのは国のトップでも変わらないのかもしれない。
本人も居るし恥ずかしいけれど、自分の口からも伝えた方が良いよね!
アイク様に一目惚れ致しました。
そう伝えようとしたのに
『何故、アイクの頭の上に鳩を飛ばしたのだろう?』
『ア…へぇ??』
アイクのアだけ発音してしまったせいで、馬鹿みたいな返事になってしまったわ!!
『ブハッ…もう、ダメだっ!耐えられないっ』
と、ラシードが噴き出せば…
次から次へと笑いが伝染していき、私以外はみんなが口元を抑えたり、両手で顔を覆ったり、扇子で顔を隠したりしながらプスー、クスクス、ハフーと笑っているんだけど…
『あの…申し訳ないのですが…私にも何故、鳩がラッパを吹いたのかは分からなくて…』
ブヒャーっと、潰れたような笑い声で更に吹き出したのは陛下で…
部屋の中、私以外の全員が笑いが止まるまで、私は下を向いて耐えるしか無かった。




