無能力者
結論から言うと俺は敗れた
「自分なりに頑張ったつもりだったけど、結局手も足も出なかったよ」
「いや、なかなか悪く無かったですよ……武戦」
よく言うよほんと俺はほとんど避けてばっかだったのに
「そんな辛気臭い顔をしないでください せっかくかっこいい顔なのに」
いきなり顔面を褒められた まあ悪い気はしないけど
「シェイルは強いね どうやったらそうなれるの?」
純粋に気になった 一応自分も並の能力者よりは強いと思っていたんだが、違ったな
「別に言う必要もないことですが、答えておきましょう」
彼女は一拍を置いて答える
「私には、私を支えてくれるものがあるからですよ」
支えてくれるもの?それだけでここまで強くなれるのか。凄いもんだな
「具体的には何かあるのか?シェイル」
彼女は微笑みながら
「“記憶”ですよ この記憶は私だけのもの。決して手放したくない宝物です」
俺は少し驚いた 彼女のような人が記憶が大事と言うとは
「さて、次はこっちがあなたを質問する側です」
「話せることは何でも話すよ……負けたからね」
負けてしまったらそこで終わりだ もしそれが命の取り合いだった場合は命が尽きるその瞬間まで戦い続けるかもしれないが、これはせいぜい小競り合いのようなものだからね
「貴方は…………何故能力を使わなかったのですか?」
!!!……………気付いていたのか彼女は
「何のことだ?俺はさっきの戦いで能力は使っていたぞ」
まさか話せることは話すとさっき言ったばかりなのに一つ目で嘘をつくことになるとは
先の戦いで俺は善戦とは言えぬまでも彼女の攻撃を何度も避けたりしていたし、反撃も避けた回数と比べたら限りなく少ないがあるにはあった
そこら辺で一発KOされていた奴らよりもシェイルは俺の方が強いとは思っているだろう
「嘘ですね………貴方は私に攻撃をしてきた時、素の技術で動いてきた それは能力によるものではありません」
さらにシェイルは言葉を続ける
「私の攻撃を見切っているその反応速度………普通じゃない、けど私の勘が言っている。それは能力じゃないと」
「さぁ?身体強化系の能力かもしれないだろ?」
しらを切り続けるしかない 何故なら俺は…………………
「まだ逃げられると思っているのですか?武戦」
シェイルは俺を逃さまいと一歩前に出てきて俺の前に立つ
「貴方は能力を使わなかった訳じゃない」
「能力が………………………使えない………いや、無いのでしょう?」
まさか………こんなにも早くにバレるとはな
そう、俺は無能力者だ 今までの戦いは持ち前の戦闘技術で補っていたに過ぎない
ただ無能力者でも俺には能力は無くとも特殊能力のようなものはあった
「貴方の体は普通とは違う 能力者とも無能力者どちらにも属さない特殊体質…………私の攻撃を見切ったその目と脳。それが貴方を強くしていたものです 違いますか?」
少しの戦闘だけでここまでバレるのか?何かカラクリがあるような………
「合っているよシェイル 俺には何でそこまでわかったのかさっぱりだけどね」
さて、これで俺の秘密が一人にバレてしまった訳だが
「この秘密を持ってどうする?学園に持っていって俺を失格にするか?」
「そんなことをやる訳ないでしょう………それにこの学園は能力者学校と銘打っていますが、非能力者が入っちゃ行けないとは聞いたことがありません もしかすると校則で禁止されているのかもしれませんが、当たり前過ぎて書いてない可能性もありますし」
彼女はニコッと笑いながら
「私は貴方を気に入りました だから………その………友達になってくれませんか?」
少し体を緊張させながら遠慮しがちに友達になってくれないかと言ってきた
「まさか友達になってくれ なんて言われると思っていなかったな」
「ダメ………ですか?」
「いやまさか、全然いいよ!俺も友達がほとんどいなかったんだ!」
でも何でこんなこと言ってきたんだろうか
彼女は安心した様子で
「ふーー良かったです 実は私友達が今まで出来たことなくて…みんな私をみるだけで逃げていっちゃうんですよ。何ででしょうね?」
絶対それはシェイルが強すぎるからだな
話をしようとしても敬語で妙に威圧感が出ていて気兼ねよく話しかけづらい感じになってるし 話してみたら結構面白い人だったけど
「じゃあどうする?多分もう直ぐ試験終了の21時になると思うけど」
「やる事もないし、ここで話しながら待ちますか」




