山の頂上で寝っ転がるって最高だね
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山で戦闘していた俺たちは、試験が終わるまで一緒にいようと言う事で仲良く喋っていた。
戦っている最中はこんなに話が通じるやつだとは思っていなかったが、ちゃんとコミュニケーションできるタイプだった。
「私は戦闘狂ではありませんよ。失礼ですね」
「今俺口に出してたっけ?」
「武戦はわかりやすいですから」
その観察眼戦闘以外にも活用できるのかよ。
「武戦、合格できたら一緒のクラスがいいですね」
そんな言葉を俺は同意した
「あぁ、もし合格できたら一緒のクラスがいいな」
これは俺の本音だ。友達ができたのなら一緒にいたい。
そう言えばまだこの試験に合格できるとは限らないんだよなーと呑気に考える
シェイルが言っていたことも結局は予測だ。でも、それでも、そんな予測が違うとは一切思えなくて、今はこの身を自然に預けていようと思う
これまで友達がいなかった自分に、この試験で二人も友達ができた。
もう、日が暮れてきた。今の時間は七時半か八時か、分からないがそこら辺だろう。
山を歩いていて、大して疲れたわけでは無いが休憩しないかと提案する。
「武戦は疲れたんですか?まだまだですね」
「俺は別に疲れたわけじゃ無いけどシェイルの表情が辛そうに見えてねーー(棒)」
嘘だ。結構長い間傾斜の高い山を歩き続けているのにシェイルの表情は微塵も変化しない。
自分は相手を奇襲したりして対して体力を消耗したわけでは無いが一応彼女は二十人以上の能力者を相手していた訳で。
疲れているのでは無いかと心配して休憩しないかと言ったが不要だったようだ。
「シェイル、暇だしこの山の頂上まで行ってみないか?」
まだ山の中腹ほどだが上を見てみると幻想のような景色で星々が煌めいている。
どうせなら山頂でこの景色を体験したいと言う気持ちに正直になってみよう。
「えぇ、良いですよ。行きましょう」
シェイルは嫌な顔ひとつせず着いてきてくれた。
「そう言えば、武戦は何故この学園に入学しようと思ったのですか?」
「そんな大層な理由じゃないさ、この学園のアレが欲しいんだ」
「なるほど、貴方もそれが目的で来たんですね」
大層な理由がないとは言ったが、何か特別な事情がないとこんな学園には入らない。
「ところでシェイルはこの程度の山一瞬で登れるんじゃ無いか?」
「能力をわざわざ使わずとも自らの身体能力だけでこの山程度一瞬で登れますよ」
この山程度って……どう見ても標高四千メートルはゆうに超えているぞ。
「俺に合わせてくれてたのか?」
「別の合わせているつもりはありません。ただ友達を置いていくのはなにか違うのでは無いかと思いとどまっただけです」
少し速度を上げるかと提案しようとしていたが、逆にシェイルがどのくらいで山頂に到着することができるのか気になってきた。
「なぁシェイル、お互いに全力で山頂まで競走しないか?」
そう言ったらシェイルは先ほどと同様に表情をほぼ変えずに
「いいですよ」と口だけを少し変化させながら微笑んだ。
その瞬間シェイルの姿が忽然と消えたかと思ったら、何故か彼女はこの山の崖の方向へ飛び出していく。
「そっちは崖だぞ!」
と思わず叫ぶが意を解することなく無視して彼女はまさに断崖絶壁と言えるような場所に辿り着く。
俺たちが今登っている山は一方が崖のようになり、もう一方が普通の傾斜が高い山という風な傾動山地なのである。
そしてシェイルは驚く事にそのまま地面を破る轟音を立ててジャンプしていく。もはやそれは跳ねるという表現より飛ぶという方が適切だと言えるように彼女は宙に浮いていた。
そんな光景に気を取られていたら、五秒とかからず彼女の姿は遙か後方へと居なくなってしまい自分もいかなきゃ置いていかれるということを思い出し全力で走り出す。
流石に彼女のように断崖絶壁を移動する気にはなれなかったのでひたすらに傾斜が高くとも踏み抜ける足場を選びながら移動していく。
全力で無我夢中に走り続け、俺はようやく頂上に着いた。
この山は、ここらあたりで最も高い山だったらしくここからは全てが見下ろせる。
シェイルを探すのに苦労するかと思っていたがこの山頂部分はだいぶ狭く、すぐ見つけられた。
「意外と遅かったですね武戦。一分くらい待っていたような気がします」
「たかが一分くらいでしょ。結構急いできたんだよ」
「それにしても、ここは狭すぎて二人が座れる場所がないな」
「分かりました。少し離れていてください」
?一体何をする気なんだ。
俺が離れたのを彼女は確認してから右手を一閃する。
「マジで規格外だな……」
彼女が一閃した右手の前にあった山だった部分は一瞬で破壊され、遙か下方に落ちていく。
「これで一緒に座れますね」
「あぁ………ありがとう…」
目の前の光景に思わず面を喰らってしまったが、彼女は俺に善意でこれをしてくれたので礼を言っておく。
「凄いですね武戦、あちこちで派手な轟音や地形破壊がされていますよ」
俺も上から見て初めて気付いた
こんなにも人が沢山いたんだなと。ていうか俺以外多分全員能力者だから環境破壊がとんでも無いな
「これって大丈夫かな?近所迷惑になっちゃいそうだよ」
「流石に能力者学校の試験で近くに民家はないんじゃないですか?」
まあそれもそうかと俺は納得する
そう言えば、辰真は大丈夫だろうか?シェイルと出会い、そこまで意識が向かなかった
そんなことを考え、山の頂上から下を見てキョロキョロしていると
「何をしているんですか?」
と質問が来た
「シェイルの前に友達になった奴がいてな。訳あって途中で別れたんだ その後どうなったか少し気になったから見てただけだ」
シェイルは俺を少し見ながら、
「へーーーーーーーー私より先に友達になっていた人がいたんですねぇ?」
めっちゃわざとらしいな。表情もさっきと同じで変わっていない 大して何も思って無さそうだ。
「別に順番なんてどうでもよくないか?二人とも俺の大事な友達だし」
「それもそうですね。さっきのはちょっとした好奇心です」とシェイルは笑った
そうこうしている間にも空は夕焼けをとうに超え流石に暗くなってきた。
寝っ転がっていると、期待していた通りの幻想的な星が空に多く浮かんでいた。
「星座とか、さっぱり分からないけど何か見えるだけで嬉しく感じない?いつもは見えないのに今日は見えた!って」
「同意します。だっていつもはこんな時間に山にいるなんて無いですからね 私も初めてです」
でも、だから楽しいと嬉しそうな顔でシェイルは光り輝く空を見ていた
そして、数分後『これにて試験を終了する』と、空から声が響いたのだった




