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クラス代表決定戦 終

「それは違うんじゃないかなぁ………?」


とトワ・シグレは思わず後ろへとのけぞる。

彼女からして見れば、対戦者である武戦が何らかの理由で手加減をしているのだと感じ、納得できないから発破をかけたつもりであった。


だが、実際として彼が出してきたのは圧倒的な武器。

彼女が想像していたこととは全くもって乖離していた。


「どうしたシグレ。掛かってこないのか?来ないのなら打つが」


「いやいやいやちょっと待ってよ!!一旦話し合おう!!考え直そう!」


先程までの冷静な一面はどこへいったのか、彼女は焦りから出てくる本能的な言葉を口から叫ぶ。


「ーーーいくぞ」


「いや、待って!!本当に待って!待ってってばぁ!!」


彼女の制止を無視し、俺は容赦無く引き金に指をかけた。


武戦には一つの理念があった。それは相手が望んだ事には決して手を抜かないという事だ。


トワ・シグレは望んだ、武戦に本気を出してもらう事を。

彼女が言い始めた事だ。もう遠慮する必要はない。


俺は、自分ができる最大限をやるべきなんだ。



ーーー発射


そして轟音とともにその弾が放たれる。


「ちょっーー!」

その言葉とほぼ同時、弾が地面に着弾し爆発音が闘技場全体に響き渡った。


凄まじい衝撃が周囲へと広がりあたり一面は煙で覆われる。


俺は即座に次への発射の準備を施し煙が晴れるのを待った。


だが、煙が晴れたあとその中心に立っていたトワ・シグレは完全に動きを止めていた。

「………………」


どうやら、終わったようだ。

俺はゆっくりと持っていた様々な武器をしまう。


ここには俺とシグレ、そしてシェイル以外がいないので審判がいない。

それ故に当人同士で決めるしかないのだ。


前を見て、立ちながら気絶しているシグレの姿を目に捉える。


「………まさか、耐えられるとは」

思わず俺はそう言葉を漏らす。

彼女は体から血が滲んでおり、髪も焦げ見るからにボロボロだった。


だが、それでも彼女は生きていた。

武戦は決して殺すつもりで放ったつもりではない。

でも少なくとも倒れてピクリとも動かないような様子になると思っていたのだが………


彼女は立っている。

それは何よりもこの攻撃に対応し、被害を少しでも少なくすることができたという事だ。


「ーーー凄いな」


俺は彼女の姿に感嘆し、少しばかりの間見つめていた。


「ガクッ」

だがトワ・シグレはその体勢を維持できず、膝が曲がり前へと倒れる。


俺はその倒れそうになった体を前から支えそのまま持ち上げた。

流石にこのまま放置するというのは酷いので、ちゃんとやるべきことはやる。

「保健室に連れていかなきゃな」


そう呟き抱え上げたまま保健室へと向かう。

長い長い廊下、それが続く。


この学園が広すぎる故連れていくまで少し時間がかかってしまう。だが、彼女からは血が段々と流れてきて少し危うく感じる。


誰か手伝ってくれるやつはいないか………


「困っていそうですね、武戦」


「何となくだけどきてくれると思ってたよ、シェイル」


俺は笑って返答した。今はシグレを運ぶのに誰か手伝ってくれる人が欲しかったのだ。


そしてタイミング良く現れてくれたのは俺が知っている中で最強のシェイル。安心感が違った。


「こいつを応急処置してくれないか?今は少しでも衝撃を加えてしまうと危ないんだ」


片手で持ち、もう一つで応急処置をすることは出来たのだが、片手で持つ場合どうしても運んでいる最中の揺れが大きくなってしまう。


「分かりました。応急処置キットは……これですね」

俺のポケットに手を突っ込み、それを取り出す。


「ーーー何で場所わかるんだよ」


「武戦は分かりやすいですから」


瞬時にシェイルはシグレに応急処置を施しそのまま武戦と並走する。


走って保健室へと直行し、たどり着く。


ドアを開けたら人が出てきて、シグレを引き取ってくれた。

「はいはーーーい!私に任せてちょうだいな!」

初めて保健室の先生を見たが、元気に溢れている。

状況や現在の怪我などを細かく伝え、俺とシェイルはここから出て行こうとそう思った矢先


「ほら、そこのお兄さんもちゃんと座りなさい。怪我してるでしょ」


「いえ、この程度なら大丈」

「はいはい。いいから座りなさい。全くもう最近の子は遠慮しがちなんだから」


俺が言葉を言い切る前に先生は俺を椅子へと座らせた。


「私は今からこの子の手当をしなきゃいけないから、ちゃんとここで安静にしていなさいよ」

と俺に釘を刺すようで優しく注意をしてきた。


何だか逆らうと怖いような気がしたのでここはちゃんと休む事にしよう。


シグレを無事に送り届けた事で、ようやく戦いが終わったと感じ肩の力が抜けた。


………終わった。正直、かなり疲れた。これがまだあと一回続くと考えたら少し気が遠い。


彼女、トワ・シグレは強かった。


先を読む能力に加え、あの戦闘技術。俺の動きを何度も見切られた故、途中から苦戦を強いられた。


これがCランクか………もっと強くならないといけないな


「それで…………お前はいつまでいるんだ?」


「さぁ、何となく……ですかね?」


彼女が首を傾げながら返答する。


「まぁいいや。それでどうだった?感想は」


「なかなかうまく出来たと思いますよ。武戦としては」


「最後の一言が余計だな」


「でも、貴方ならもっと上手くやれたはずでは?」


「お前が俺の何を知ってるんだか………」


シェイルは俺のことを過大評価しているようだ。俺は今の所シェイルには敵わないと感じてしまっている。

戦う前から負けることを考えてしまっている時点で、すでに負けているようなものだ。


「まぁ………見てくれてありがとう。今度は俺がお前の試合を見にいくよ」


「あーーはい………」


なぜかシェイルの歯切れが悪くなった。


「どうした?なんか不都合なことでもあったのか?」


そしてその言葉に、俺は驚く事になる。

「いえ、もう終わりました」


「は?」


終わった?いつ、どこで何が?え………だってそもそもシェイルは俺の試合を見ていたはずじゃ


「それは、どういう………」


「貴方の試合を見ている時、自分の出番がきたので。さっさと終わらせてきました」


………………なるほど?つまりは途中離脱してまた俺の試合を見に戻ってきたと。そういう事だな。


「なら仕方ないな。まぁまだ試合は一つ残っているわけだし、それを見にいくとするよ」


「いえ、どっちも終わりました」


………………なるほど???連続で試合をして戻ってきたと。つまりはそういう事だな。


完全に理解したわ。





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